ハトラ遺跡の観光ツアー再開 ISが破壊、再出発へ―イラク

東京, 9月13日, /AJMEDIA/

イラク北部モスル近郊のハトラ遺跡で、団体客による観光ツアーが再開した。2015年に一帯を占拠した過激派組織「イスラム国」(IS)によって貴重な文化遺産が破壊され、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「危機遺産」に指定されたが、観光地として再出発に向け歩み始めた。
 モスルから車で約2時間のハトラは、2000年以上前にさかのぼる都市遺跡。ISは15年、遺跡にあるレリーフを破壊して火を付けたり、彫像につるはしを打ち込んだりする動画を公表した。17年にイラク側が奪還。当局は今年2月、ローマ風の彫刻など修復した文化遺産3点を公開していた。
 今月10日に遺跡を訪れたツアー再開の第1弾は、民間の博物館が組織。参加した約40人の大半はイラク人で、柱の前で自撮りしたり、破壊されたレリーフに見入ったりした。
 ベルギー人の夫と共に参加した会社員の女性(33)は、AFP通信に「豊かな歴史があると同時に、ISのために不幸な出来事も数多くあった」と話す。遺跡に残された弾痕を見て「複雑な思い」に襲われたという。
 解放から5年がたち、モスルやその近郊はある意味「平常」を取り戻したが、過激派との戦いの爪痕は残る。米英などは依然、自国民のイラク渡航について、テロや誘拐、武力衝突のリスクがあると警告する。
 課題は多く観光インフラも不十分だが、ハトラ観光に参加した英エクセター大の大学院生は「モスルは戦争とテロだけじゃない。文明であり遺産であり文化だ」と主張。「全世界から大勢の観光客が、この素晴らしい遺跡を訪れるべきだ」と力を込めた。

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