東京, 7月26日 /AJMEDIA/
「ROG Ally X」(アールオージー エイライ エックス)は、はるかに低価格の「ROG Ally」(499.99ドル、日本では税込み8万9800円から)のアップデート版で、玉石混交の「Windows」ベースのハンドヘルドゲーム機の中で基本的にはベストな部類とみなされている。競合製品には、「Lenovo Legion Go」や「MSI Claw」などのよく知られたモデルのほか、主に米国外で販売されている多数の製品も含まれる。ただし、ROG Ally Xは799.99ドル(同13万9800円)と比較的高価なので、デザイン面で多くの改善が施されていたり、パフォーマンスも向上したりしてはいるものの、購入をためらう人もいるのも納得できる。
多かれ少なかれOSによってプレイできる作品が決まるゲーム機というカテゴリーにおいて、Windowsには、良い面もあれば悪い面もある。一方で、Windowsの場合、「Epic Games Store」や「Xbox Game Pass」「Steam」などのWindowsベースのプラットフォームを使用して、PC向けに提供されているあらゆるゲームをプレイすることができる。つまり、ユーザーは考えられる中で最大のゲームライブラリーにアクセスすることができるというわけだ。
対照的に、「Nintendo Switch」で遊べるのはSwitchのゲームだけだ。「Steam Deck」でプレイできるのはSteamのゲームだけだし(改造すれば非対応のゲームをプレイすることもできるが)、「PlayStation Portal」では、「PlayStation 5」(PS5)にインストールされたゲームしかプレイできない。「Logitech G CLOUD」でも、プレイできるのはクラウドゲームと「Android」ゲームだけだ。
しかし、その一方で、Windowsは小さなディスプレイには適しておらず、ゲーム機のようにスムーズに操作できるようにスキンを変更することも容易ではない。ゲーム機が悪いために怒りにまかせてプレイをやめるのは、十分にいら立たしいことである。よく分からないボタンをうっかり押してしまい、Windowsやゲームのプラットフォームアプリから何度も追い出されたことに腹を立ててプレイをやめるのは、全く別次元のいら立たしさだ。ほかのコントローラーやデバイスから乗り換えたときは、4つのメニューボタンに暗闇で光るインクや派手なラベルで印を付けると、誤操作を最小限に抑えることができる。インクが消えるころには、それらのボタンの機能を記憶しているはずだ。
コンパクトなタッチキーボードを使っている場合でも、入力しようとしているフィールド(メールアドレスやパスワードなど)がブロックされることがある。筆者の場合、我慢の限界に達したら、キーボードやマウスをBluetoothで接続していた。一番良い解決策とは言えないが、いら立ちを大幅に抑えることはできた。MSI Clawのテストを開始したばかりの筆者からすれば、ROG Ally Xは間違いなく合理的なデザインになっていると思う。
もう1つ注意点がある。このようなWindowsベースのハンドヘルドゲーム機はすべて統合グラフィックスチップを使用しているため、プレイできるゲームとプレイ品質が制限されてしまう。ROG Ally Xの画面解像度(1080p)でも、「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「Horizon Zero Dawn」などの古いAAAゲームは、画質を大幅に下げることなく、60fpsを大幅に下回るフレームレートで動作する。そのため、1080pを上回る高解像度の外部ディスプレイに接続したいのなら、ROG Ally Xは良い選択肢ではない。
ただし、もっとライトなゲームをプレイしたいのなら、ROG Ally Xは驚くほど優れたパフォーマンスを発揮する。そのパフォーマンスは、グラフィックスを内蔵したAMDの「Ryzen 7 8840HS」を搭載した低消費電力ノートPCに匹敵し、「Hades 2」では、200fps以上のフレームレートをほぼ維持できた。また、「Adrenalin」ドライバや、「FidelityFX」をサポートするゲームで、AMDの最適化テクノロジーを有効にすれば、パフォーマンスを向上させることも可能だ。
ROG Allyと同じAMDの「Z1 Extreme」プロセッサーを採用しているにもかかわらず、ROG Ally Xが高速なのは、より大容量かつ高速なメモリー(そのうち8GBはデフォルトでiGPUに割り当てられている)、より高速なSSD(「3DMark Storage」ベンチマークでは63%高速だった)、ACアダプター非接続時の各オペレーティングモードの消費電力の引き上げ(例えば、パフォーマンスモードで15Wから17Wに増加)などのアップグレードのおかげだ。
初代ROG Allyについては、バッテリー持続時間のテストはしていなかったものの、ROG Ally Xのバッテリー容量は初代の2倍(40Whから80Wh)で、「Hades 2」や「Have A Nice Death」、クラウドゲームの「Flock」や「Maquette」といったゲームやライブラリーサーフィンを約4時間にわたって楽しむことができた。3時間半ほどが経過したところで、寝る時間になったが、そのときのバッテリー残量は9%だった。素晴らしいとは言えないが、ひどいわけでもない。なお、充電時の電力も100Wに増えたにもかかわらず、同梱されているのは65Wの充電器だ。
冷却システムもアップデートされており、デバイスの表面温度が低下しているが(バッテリー駆動時の動作音は以前ほど静かではない)、本体上部から空気が出てくるのを感じることが時々あった。また、背面の表面はそれなりに熱かった。
合理的なデザイン
筆者の個人的な好みをいくつか述べておこう。グリップにテクスチャーが追加されて握りやすくはなったが、プラスチック製なのは変わらない。筆者はもっとゴムのような感触のグリップが好きだ。各種ボタンにも修正が加わっている。十字キーは8方向になり、ABXYボタンも「より触感の高い」ものになっている。しかし、十字キーやボタンはどれも筆者には少し柔らかく感じる。