東京, 2月9日, /AJMEDIA/
フランスのマクロン大統領は8日、記者団に対し、緊迫するウクライナ情勢を激化させないようプーチン・ロシア大統領を7日の首脳会談で説得し、「目的を達成した」と仲介外交の成果を語った。AFP通信が報じた。ただ、ロシア側の説明とは食い違いもあり、危機回避につながるかは依然予断を許さない。
マクロン氏は会談後の記者会見で、全ての関係国にとっての「具体的な安全の保証措置」を協議したと説明。AFPによると8日、「駆け引きをやめさせ、激化を防ぐ目的が達成された」と語った。仏大統領府によれば、両首脳はウクライナ国境付近で新たな軍事行動を起こさないことで合意した。
プーチン氏は会談後の記者会見で「謝意を表明したい。ロシアと北大西洋条約機構(NATO)の深刻な問題を解決するためにフランスが努力してくれている」とマクロン氏を持ち上げた。一方タス通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は8日、新たな軍事演習を行わないことで仏ロ首脳が合意したとの情報について「聞いていない」と述べ、仏側の説明と食い違いを見せた。
今回の首脳会談に対するフランスでの受け止め方はさまざまだ。BFMテレビは「最初の成果としてはやや不十分だ」と具体性の欠如を指摘する。一方、仏国際関係戦略研究所(IRIS)のロシア専門研究員は同テレビに出演し、マクロン氏が「ロシア側の安全保障に対する懸念を欧州の国として初めて認めた点は重要だ」と評価した。
フランスは今年前半、欧州連合(EU)議長国を務める。マクロン氏は、米ロ間の交渉が中心となっているウクライナ情勢でフランスやEUの存在感を強めたい考えだ。プーチン氏のほか、バイデン米大統領やウクライナのゼレンスキー大統領、ドイツのショルツ首相らとの協議を積極的に繰り広げている。
ただ、これには、4月の大統領選に向けて目立つ外交成果を挙げたいという事情も透けて見える。マクロン氏はプーチン氏との記者会見で「今後数日間が決め手となるだろう」と強調し、事態打開に期待感を示してみせたが、前のめりな印象も有権者に与えかねない。
大統領選で有権者が重視するのは、物価上昇や治安対策など生活に密着する政策だ。派手な外交パフォーマンスをやり過ぎれば「国内問題を軽視している」と野党からの批判を招きかねず、繊細な対応も要求されている。