東京, 12月28日, /AJMEDIA/
大阪市北区の雑居ビルに入るクリニックで25人が死亡した放火殺人事件で、重篤な状態が続いている谷本盛雄容疑者(61)が脳に重い障害を負っていることが27日、捜査関係者への取材で分かった。医療関係者は「重い一酸化炭素(CO)中毒の場合、命を取り留めても意思疎通できない可能性がある」と指摘。大阪府警による事情聴取の見通しは立っておらず、捜査関係者は今後、刑事責任を問えない可能性があるとみている。
事件は17日午前10時20分ごろ、ビル4階の「西梅田こころとからだのクリニック」で発生。谷本容疑者を含め27人が心肺停止状態で病院に搬送され、うち25人が死亡した。死因はいずれもCO中毒に起因。蘇生した2人のうち、谷本容疑者も重度の気道熱傷やCO中毒により、意識不明状態が続いている。
捜査関係者によると、谷本容疑者は内臓などにやや回復も見られるが、脳に重い障害を負っているという。
救急医学に詳しい順天堂大大学院医学研究科の近藤豊准教授は、COが酸素に比べ、血液中のヘモグロビンと約250倍結び付きやすいという特徴を挙げ、「長く吸うほど脳に酸素が行き届かなくなり、深刻な障害が起こりやすい」と指摘する。その上で「命を取り留めても、記憶が失われていたり、会話を通じた意思疎通が困難になったりする可能性が高い」と語った。