10万円給付、基準づくりに苦慮 自治体「全額現金」拡大で―政府

東京, 12月11日, /AJMEDIA/

18歳以下の子どもに現金とクーポンで10万円相当を給付する経済対策をめぐり、政府が対応に苦慮している。クーポン分も例外的に現金で配ることを認める基準づくりに乗り出したものの、公表を待たずに「全額現金」を宣言する自治体が続出。最初の給付が今月下旬に迫る中、線引きをどうすべきか頭を悩ませている。
 「自治体の意見も聞きながら、柔軟な制度設計を進めていく」。岸田文雄首相は10日の参院本会議で、全額現金給付も一定程度容認する考えを示した。
 政府の経済対策は、年内にも現金で5万円、来春に向けクーポンで5万円を給付し、2回目は例外的に「現金給付も可能」としている。当初はこの対象を絞り込む方針で、今月3日に「6月末までにクーポン給付を開始できない場合に限る」と自治体に通知した。
 ところが、クーポン給付は967億円の経費が余計に掛かる上、事務作業も煩雑になるため、自治体の間で「全額現金」を表明する動きが拡大。首相は8日の衆院本会議で「どういう場合に現金給付ができるか、具体的な運用方法を検討していく」と軌道修正せざるを得なくなった。
 クーポンとの併用は、貯蓄に回ることを避けて消費喚起につなげる狙いからだが、自治体関係者は「好んでクーポンを選ぶ自治体はほとんどないと思う」と明かす。基準を緩め過ぎれば自治体が全額現金給付に雪崩を打ち、併用を決めた与党のメンツをつぶしかねず、内閣府幹部は「どんな基準をつくっても批判される」と頭を抱える。
 10日の立憲民主党の会合では「クーポンを使える店がない自治体は現金でいいか」「人手不足の自治体はどうか」などと質問が相次いだ。しかし、政府側の出席者は「今まさに検討中」と言葉を濁した。
 政府は2021年度補正予算案の成立後、速やかに基準を示す方針だが、自治体側はいら立ちを募らせている。基準提示が遅れれば、2回目の支給が4月以降にずれ込む可能性もある。立民若手は「本当に支援が必要なのは卒業・入学シーズンだ」と述べ、迅速な対応を求めた。

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