「10増10減」思惑入り乱れ、難航必至 与野党、候補者調整本格化―衆院区割り

東京, 11月19日, /AJMEDIA/

 衆院小選挙区を「10増10減」する改正公職選挙法が成立し、与野党は候補者調整を本格化させる。ただ、選挙区が減る10県に現職がひしめく自民党内の公認争いは着地点が見えず、都市部で新規擁立を狙う公明党とは摩擦が生じる可能性もある。野党側は、立憲民主党や日本維新の会が候補一本化を進められるかが課題だが、与野党の思惑は入り乱れており、ともに調整は難航必至だ。
 自民党の森山裕選対委員長は18日、党東京都連会長の萩生田光一政調会長と党本部で会談し、5増となる東京を巡り対応を協議。茂木敏充幹事長は記者団に「調整はまさにこれから。党内の意見を丁寧に聞きながら進めたい」と語った。
 自民党にとっては早期決着が至上命令だ。「調整中だと岸田文雄首相の衆院解散権が事実上縛られる」(党幹部)とみられるからだ。茂木氏ら幹部は来週、今後のスケジュールを確認。その後、「10増10減」の対象である15都県連代表者を12月初旬にも党本部に集め、地方組織内で検討を急ぐよう指示する見通しだ。
 自民党内で調整が困難視されるのは、「10減」で各1減となる対象県。特に、議席を独占する滋賀、岡山、山口、愛媛と、世耕弘成参院幹事長がくら替えを狙う和歌山は「解答」が見えない。さらに山口と和歌山は来年4月にも補欠選挙が想定され、作業は複雑さを増している。
 党内では、選挙区と比例代表の候補が選挙のたびに入れ替わる「コスタリカ方式」や比例上位優遇の活用が早くも取り沙汰される。
 「10増」も悩みの種だ。小選挙区選出議員を増やしたい公明党は、自民党に対し、対象5都県のうち東京、埼玉、千葉、愛知で各1選挙区を譲るよう既に要求。公明党内では埼玉新14区に石井啓一幹事長、東京新29区に高木陽介政調会長が出馬するとの見方もある。石井氏は18日の記者会見で「積極的に擁立を目指す」と語った。
 自民党からは「公明党が新たに立てるのは、どこか1選挙区で十分」(関係者)とけん制する声も聞こえ、落としどころは見通せない。
 野党の状況も混迷している。野党間で選挙協力を行うかすら定まっていないためだ。
 立民の泉健太代表は18日の会見で、「10増」の5都県への対応について「独自候補の擁立を進める」と表明。維新の藤田文武幹事長も「全ての選挙区で擁立する努力を加速する」と語った。
 立民内からは、「共倒れ」への懸念から候補1本化を探るべきだとの声が上がる。一方、次期衆院選で野党第1党の座を目指す維新幹部は「譲ることは絶対ない」と強調。維新は立民と国会で共闘しつつも選挙区調整は否定しており、競合する可能性は強まっている。

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