東京, 10月16日, /AJMEDIA/
需要が低迷するコメの栽培をやめ、畑で麦や野菜などを育てる農家が増え始めた。農林水産省の推計で、2022年に水田から畑に切り替わった面積は全国で少なくとも3000ヘクタールに上る。100ヘクタールにも満たなかった前年までの状況から一変した。畑作物への転作を後押しする政府の補助金制度が浸透。農水省は「需要に応じた生産を進めようという考えが産地で広がってきた」(担当者)と分析している。
同省が14日発表した22年産米の作柄概況によると、主食用米の作付面積は前年から5万2000ヘクタール(4.0%)減少した。従来通り、水田のまま栽培できる飼料用米への転作が目立つ一方、今年は畑に転換して麦や大豆、野菜、果樹などを継続的に生産する農家も増えた。畑に切り替えると水田に戻すのは難しく、政府は「コメ余り」に歯止めがかかると期待する。
政府は、コメから畑作物への転作を決めた農家に、農地整備や農業機械購入などの費用を補助している。野菜や果樹の場合は畑に転換する面積10アール当たり17万5000円、それ以外の作物は10万5000円をまず助成。野菜や果樹にはその後も5年間、一定額を支給するが、これまで補助金制度を利用する農家は限られていた。
今年は、ウクライナ危機に伴って国産小麦などの需要が膨らみ、農家の間で需要に応じて栽培品目を見直す機運が広がった。政府はこうした動きを食料安全保障の確保にもつなげようと、月内にまとめる総合経済対策に、畑への転換を支援する補助金制度の拡充を盛り込む方向で調整している。