東京, 8月4日, /AJMEDIA/
自民党は3日、選挙制度調査会などの合同会議を開き、「1票の格差」是正へ衆院小選挙区を「10増10減」する政府の区割り改定案について議論を始めた。岸田文雄首相は改定案を反映した公職選挙法改正案を秋の臨時国会で成立させる方針だが、定数減となる地方選出の議員を中心に異論が噴出。意見集約は難航必至だ。
10増10減は、和歌山や山口など10県で定数を各1減し、首都圏4都県と愛知県を計10増する内容。2016年の関連法で導入された「アダムズ方式」に基づく。政府審議会が6月、これに伴う区割り案を首相に勧告した。
合同会議では、10人余りが反対、慎重意見を表明。主に(1)区割り案の格差は最大1.999倍で、近く2倍を超え違憲状態となる可能性が高い(2)複数の選挙区に分割される自治体の解消を進めた結果、生活圏や文化圏が分断された―と主張した。
これに対し、選挙制度を所管する総務省は「区割りは5年ごとの国勢調査に基づいて見直すもので、2倍を超えても合法的に解釈できる」と説明。「分割を最小限にとどめつつ格差を2倍未満に収めた」と理解を求めた。
逢沢一郎調査会長は合同会議で、公選法改正案について「秋の臨時国会で対応しないといけない」と強調。だが、現行制度の抜本改正を訴えてきた石田真敏元総務相(和歌山2区)は記者団に「今の時点で2倍かもしれないのに『賛成』となるのか」と疑問を呈した。
党内では候補者調整が困難視される。例えば、定数3が2となる和歌山は、二階俊博元幹事長ら現職2人がいる中で、世耕弘成参院幹事長が衆院へのくら替えを模索。党関係者は「情勢調査で強い人を支部長にすればいい」と漏らす。
一方、有力者がひしめき最も注目された山口は、当事者の安倍晋三元首相が死亡したことで状況が一変。安倍氏後継が擁立されるかを含め、調整の行方は不透明だ。
公明党は定数が増える東京や神奈川で候補擁立を狙う。石井啓一幹事長は7月の記者会見で「自民党との調整は必要だが積極的に挑戦したい」と意欲を示した。自民側は「絶対に譲らない」(都連関係者)と警戒を強める。茂木敏充幹事長は2日の会見で「党内の調整を踏まえ公明とも協議したい」と述べるにとどめた。