核共有と軍縮、両にらみ オブザーバー参加の独―核兵器禁止条約締約国会議

東京, 6月20日, /AJMEDIA/

21日にウィーンで開幕する核兵器禁止条約の第1回締約国会議には、ドイツが先進7カ国(G7)で唯一、オブザーバー参加する。米国との「核共有」の枠組み破棄につながる条約加盟を避けつつ、核軍縮の論議に加わる両にらみの戦略を取った形だが、曖昧な姿勢でどこまで実質的に議論に貢献できるかは不透明だ。
 ロシアのウクライナ侵攻前の昨年12月に発足した社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)によるショルツ連立政権は、政策合意書で核禁条約の議論に「建設的に付き添う」とうたい、オブザーバー参加を宣言した。緑の党は特に反核姿勢が強く、同党幹部は時事通信の取材に「いずれ核禁条約への正式加盟を目指すべきだ」と語った。
 だが、条約に加盟すれば、核共有政策に基づき独西部ビューヘル空軍基地に配備されている米軍の核兵器を撤去しなければならなくなる。
 核共有の枠組みでは、ドイツ軍の航空機が、米軍の管理下にある同基地の核兵器の提供を受け、投下任務に当たる。米国に核使用の最終決定権を残しつつ、欧州側の同盟国を核使用の意思決定と核攻撃の過程に取り込むことで、欧州での核使用を米国がためらうリスクを下げ、抑止力の向上を図る仕掛けだ。
 核共有は、反核世論が根強いドイツで批判の的になってきた一方で、冷戦期以来、独国防政策の中で重要な位置を占め続けてきた。核戦力を誇示するロシアによるウクライナ侵攻を受け、核抑止の重要性を再評価する流れは強まっており、政策転換は現実的ではない。
 ショルツ政権は侵攻後、ロシアの脅威に対抗するため、1000億ユーロ(約14兆円)を投じた軍備増強を決定。使途には、核兵器を搭載する米国製戦闘機F35の調達費も含まれる。公共放送ARDが今月2日に発表した世論調査によると、核共有の維持を支持する回答が初めて過半数に達した。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts