東京, 4月21日, /AJMEDIA/
ことし1月に亡くなった芥川賞作家、李恢成さんの最後の長編小説「地上生活者」の未発表の原稿が、李さんの自宅に大量に残されていることが分かりました。
朝鮮半島出身の両親のもとに現在のサハリンに生まれ、北海道で育った李恢成さんは、自身のルーツをもとに、分断された朝鮮半島の民族の歴史を背景にした作品の数々を手がけ、1972年に「砧をうつ女」で芥川賞を受賞しました。
李さんは2000年から自身の半生をもとに、小説家の生涯を描く長編小説「地上生活者」を連載していましたが、2020年の第6部が生前に発表された李さんの最後の作品となっていました。
遺族によりますと、李さんはその後も執筆を続けていたということで、第7部の原稿が都内の自宅に残されていることが分かりました。
原稿は400字詰めの原稿用紙に800枚以上、合わせて16章に上り、50代を迎えた主人公がみずから創刊した文芸誌の発行に奮闘する姿や、北朝鮮に渡った親戚が政治犯として逮捕される苦難などが描かれているということです。
また、原稿は整理しきれていないものの未完とみられ、遺族は何らかの形で公表を目指したいとしています。
李恢成さんの長男の李潤午さんは「父は『地上生活者』について第7部で完結する自分の最後の長編小説で、何としても世に出したいと言っていた。未完ではあっても何とか公表したい」と話していました。