TPP、中国の扱い焦点 英加入交渉は「試金石」

東京, 4月2日, /AJMEDIA/

日豪など環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国が英国の加入に合意したことで、TPP拡大の焦点は、加入を2021年9月に申請した中国と台湾への対応に移る。参加国は、TPPのルールに従うことが加入条件であることを示す「試金石」になるとみて、英国と厳しく交渉した。中国加入のハードルは高い。
英国は欧州連合(EU)離脱後、インド太平洋地域との関係強化を重視し、21年2月に加入を申請。参加国は4カ月後に加入交渉に応じることを決めた。交渉の実質的な妥結まで申請から約2年かかったが、当初は1年程度で妥結するとの見方もあった。ずれ込んだのは、農業の市場開放に慎重な英国が農産品と工業品の関税撤廃率の提案を初期段階で90%程度にとどめたためだ。
 TPPは、関税撤廃率をほぼ100%に高めることや、国有企業の優遇制限などを求める厳格なルールを定めている。参加国が中国への対応を念頭に「英国に厳しい姿勢で臨んだ」(交渉関係者)結果、英国の撤廃率は90%台後半に達し、加入への道が開けた。
 通商問題に詳しい日本総合研究所の石川智久上席主任研究員は「英国並みの厳しい交渉を受け入れないと加入できないことが(中国などに)示された」と指摘する。
 中国は国有企業を優遇していることなどからTPPルールとは相いれないのが現状だ。TPP参加国の中には、中国の加入を支持する国もあるとされるが、日本は慎重だ。加入交渉の開始は、参加国による全会一致の決定が原則となる。
 台湾への対応では、中国が台湾を自国の一部とする「一つの中国」原則との兼ね合いが難題で、「中台とも加入させるのは難しい」(別の交渉関係者)との見方が出ている。

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