東京, 7月06日, /AJMEDIA/
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は5日、東京電力福島第1原発(福島県大熊、双葉両町)を訪問し、原発事故で生じた処理水の海洋放出設備などを視察した。
漁業者・周辺国の理解見通せず 処理水放出、最後の難関
グロッシ氏は構内の海に近い高台から、処理水を薄めて放出するための配水管や水槽を見学し、小早川智明東電社長から説明を受けた。グロッシ氏は昨年、福島第1原発を訪れているが、完成した放出設備を視察するのは初めて。
また、薄めた処理水を使用したヒラメやアワビの飼育試験施設を視察。東電との間で、海洋生物飼育に関して情報共有を深めるための技術協定書を締結した。
グロッシ氏は視察後、記者団に「約5時間かけていろいろな設備を見た。制御された放出がきちんとできるだろうと考える」と述べた。この日IAEAスタッフが常駐できる事務所を第1原発内に開設したことにも触れ、「既に科学的根拠はある。信頼を勝ち取るために今後しなくてはならないのは、透明性を持って説明を繰り返し説明を諦めないことだ」と語った。
これに先立ち、グロッシ氏は同県いわき市で開かれた国や県、地元関係団体などによる「廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会」に出席した。海洋放出計画が国際的な安全基準に合致していると結論付けた包括報告書について説明。「福島の皆さんと約束できるのは、処理水最後の一滴が安全に放出し終わるまで、IAEAはここにとどまる」と述べ、放出後もモニタリング(監視)を続ける考えを強調した。