東京, 10月25日, /AJMEDIA/
ロシアのウクライナ侵攻に伴う食料価格高騰や、米連邦準備制度理事会(FRB)による急激な利上げを背景とするドル高と金利上昇を受け、低所得国の債務負担が膨れ上がっている。20カ国・地域(G20)による債務減免を促す「共通枠組み」は、当初の狙いに反して機能不全に陥っている。
共通枠組みは2020年11月、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた低所得国を救済するための「切り札」として導入された。日米など先進国主体の「パリクラブ(主要債権国会議)」加盟国だけでなく、低所得国への貸し付けを近年急拡大させた中国やインドといった非加盟国、さらに民間債権者も交渉プロセスに引き入れ、困難な債務減免の速やかな達成を図った。しかし、減免の申請はチャド、ザンビア、エチオピアの3カ国にとどまり、協議も停滞。実績はいまだゼロだ。
ザンビアは20年、コロナ禍のさなかでデフォルト(債務不履行)に陥った。25年末までの総額84億ドル(約1兆2500億円)の債務減免に向け、今年末までに合意を目指しているが、ムソコトワネ財務相は「必要なのはスピードだ」と、遅れに焦りを隠さない。
産油国チャドに関しては、中国やフランスなどで構成される債権者委員会が今月13日の声明で「石油価格高騰を踏まえれば、債務減免は今必要ない」との判断を示した。国際通貨基金(IMF)のセラシ・アフリカ局長は「チャドはコロナと干ばつで極めて困難な状況にあり、減免の遅れは非常に問題だ」と憤る。エチオピアの協議も、内戦激化で進んでいない。