東京, 10月30日, /AJMEDIA/
インターネット交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブック(FB)が28日、社名を「Meta(メタ)」に変えた。SNS上の有害情報に対策を講じなかったとの批判的報道を契機に、悪化したイメージを刷新する意図もにじむ。有望分野の「メタバース」と呼ばれる仮想空間に事業の軸足を移し、反転攻勢を目指す。
「物語には常に次の章がある」。2004年の創業から維持してきた「フェイスブック」の文字に別れを告げたザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の表情は晴れやかだった。
傘下の写真共有アプリ「インスタグラム」では、利用した少女が心身に不調をきたしたという調査結果を隠したとの内部告発を基に、米メディアが追及報道を展開。連邦議会からも「利益を優先した」と糾弾されていた。
また米アップルが4月、アプリからの個人情報収集のルールを厳格化。利用者の趣向を分析し広告を展開するビジネスに暗雲が垂れ込めていた。
こうした中で打ち出されたのがメタバース企業への転身だ。FBは、仮想現実(VR)用ゴーグル型端末を手掛けるオキュラスVRを14年に買収したが、コックス最高製品責任者(CPO)は、メタバースへのシフトという構想が「オキュラス買収以降、社内でも議論されてきた」と報道陣に説明。発表がこの時期になったのは、新型コロナウイルス禍でのデジタル化の加速が後押しとなったためという。
メタバースは、CG(コンピューターグラフィックス)のアバター(分身)を介して入り込める仮想の世界だ。これまではゲーム業界を中心に取り組んできたが、FBは今年だけで100億ドル(約1.1兆円)を投下。今後も投資を拡大し、主導権を握りたい考えだ。