AUの正式参加に奔走 G20議長国、影響力誇示へ―インド

東京, 9月3日, /AJMEDIA/

【ニューデリー時事】9日に開幕する20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、議長国のインドはアフリカ連合(AU)を正式メンバーとすることを提案する見通しだ。インドはかねて、自国が「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の声を代弁すると訴えており、多くの途上国から成るAUの参加をサミットの成果とすることで存在感を誇示し、今後のアフリカへの影響力増大にもつなげたい考えだ。
 モディ首相は8月23日、南アフリカのヨハネスブルクで開かれた新興5カ国(BRICS)首脳会議で「AUのG20正式参加を提案している」と説明。「BRICS各国を含むG20メンバーは皆、この提案を支持するだろう」と自信を示した。
 インド政府によると、モディ氏は関係国首脳にAUの参加に関する書簡を送った。AU加盟国で唯一、G20にも加わっている南アフリカのラマポーザ大統領は、BRICS首脳会議に合わせてモディ氏と会談し、インドの尽力に謝意を伝えた。
 アフリカ諸国は近年、新型コロナウイルス禍で債務危機が顕在化。気候変動やロシアのウクライナ侵攻に伴う食料価格の上昇でも、深刻な打撃を受けている。AUはG20入りによって、こうした懸念を国際社会により強く訴えられるようになると期待する。
 一方、インドの提案はアフリカでの権益を確保する思惑があるともみられている。豊富な資源を抱え「最後のフロンティア」と呼ばれるアフリカを巡っては、大国間の綱引きが活発化。米国や中国は対アフリカ外交を強化しており、ロシアも孤立回避や対米けん制を狙い、7月に「ロシア・アフリカ首脳会議」を開催した。
 インドのジャイシャンカル外相は6月、首都ニューデリーで開かれた催しで、アフリカとの人的・経済的な結び付きを強調。「アフリカの台頭は世界的な秩序再編の鍵だ」と述べた。
 インドにはアフリカを含む多極主義を提唱し、その中で自国の存在感を高める狙いもある。ただ、G20参加国の間ではウクライナ侵攻を巡る米欧とロシアの対立などで不協和音も目立つ。55カ国・地域から成るAUが加わった場合、先進国と新興国が入り交じるG20での合意形成が一段と難しくなる可能性もある。

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