7年ぶり全通「ようやく」 南阿蘇鉄道運転士の山本さん

東京, 7月16日, /AJMEDIA/

熊本地震で被災し、7年余り一部区間が不通だった第三セクターの南阿蘇鉄道(熊本県高森町)が15日、全線での運転を再開した。運転士を務める山本英明さん(28)は、「ようやく、全区間でお客さんを乗せて走れる」と笑顔を見せた。
〔写真特集〕熊本県で震度7の地震

 山本さんは2015年4月、福岡県の専門学校を卒業後に入社。「鉄道に関わる仕事がしたい」と思う中で、沿線に広がる田園風景や、遠くに望む阿蘇山の美しさに引かれたという。
 熊本地震の本震が襲ったのは翌16年4月16日。線路などが甚大な被害を受け全線不通に。約1カ月前に運転士資格を取ったばかりで、「仕事ができなくなり、『まさかこんなことに』という驚きしかなかった」と振り返る。
 先行きが見えない不安から退職も頭をよぎった。ただ、約3カ月後には一部区間で運転を再開するなど、早い段階で全線再開を目指す方針が定まり、「開通を信じ、やるぞ」と前向きになった。
 車両の清掃や整備に取り組む傍ら、「自分にできることを」と、SNSでの情報発信に注力。被災後に開設したオンラインショップの紹介や、運行情報などの更新を続けると、多くの反応や応援の言葉が寄せられた。
 今年4月からは不通区間での訓練運転が始まった。トンネルだった場所は山が削られて整地されるなど、覚えていた風景との変化もあったが、懐かしさが込み上げた。
 乗客は被災前、全線を使って通勤通学していた人が多いという。「全てつながってこそ」と思いながら7年余りを過ごした山本さんは、「お待たせしました」との気持ちで運転する。

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