食道がん 術前の抗がん剤 1種類追加で生存率高く 研究グループ

東京, 6月28日 /AJMEDIA/

食道がんの治療は、手術の前に2種類の抗がん剤を使って、がんを小さくしておくのが標準的な治療法とされてきましたが、さらに、もう1種類の抗がん剤を加えることで、患者の生存率を高められるとする研究成果を国立がん研究センターのグループが発表しました。世界的にも、食道がんの治療法の見直しが進むきっかけになるとしています。

食道がんは、手術で切除する前に、抗がん剤などを使ってがんを小さくするのが標準的な治療法となっていて、
▽日本では、2種類の抗がん剤をあわせて使う方法がとられてきたほか
▽アメリカやヨーロッパでは、これに加えて放射線治療を行う方法がとられています。

国立がん研究センターなどのグループは、これまで使われてきた2種類の抗がん剤に「ドセタキセル」という抗がん剤を加えて3種類にすることで、患者の生存率が改善するかどうかを調べる臨床研究を2012年から進めてきました。

臨床研究には、全国からおよそ600人が参加し、治療から3年での生存率は
▽3種類の抗がん剤を使う方法が72.1%
▽2種類の抗がん剤を使う方法が62.6%で、
3種類の抗がん剤を使うほうが、生存率が高いことが確認できたということです。

一方、
▽2種類の抗がん剤と放射線治療を組み合わせる方法の生存率は68.3%で、
2種類の抗がん剤を使う方法と統計的に差がなかったほか、肺炎や心疾患など、ほかの病気で死亡する患者が多かったということです。

日本では、この研究の中間結果が発表されたあとの2022年から、3種類の抗がん剤を使う方法が標準治療として取り入れられているということで、国立がん研究センター中央病院の加藤健科長は「今回の臨床研究は、世界的に食道がんの治療法を見直す転換点になった。欧米でも検証が進められていて、標準治療の見直しが進むきっかけになるのではないか」と話しています。

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