防衛費財源の増税焦点 NISA拡充、1億円の壁是正へ―23年度改正で本格始動・与党税調

東京, 11月19日, /AJMEDIA/

 自民、公明両党の税制調査会は18日にそれぞれ総会を開き、2023年度税制改正の本格的な議論を始めた。防衛費大幅増の裏付けとなる財源確保策として、増税を盛り込むかが焦点だ。少額投資非課税制度(NISA)の恒久化を含めた抜本拡充や、年間所得1億円を境に税負担率が下がる「1億円の壁」の是正も検討。12月中旬に税制改正大綱を取りまとめる。
 現在は年5.4兆円の防衛費について、自民党は5年以内に国内総生産(GDP)比2%以上とすることを念頭に増額を求めている。必要な財源として、税収の多い法人税や所得税を含めた幅広い税目で増税が検討される見通し。国家安全保障戦略など関連3文書の改定に向けた与党協議を踏まえ、具体的な議論を進める。
 自民党税調の宮沢洋一会長は総会で「財源については、税調で結論を出さなければいけない」と強調。公明党税調の西田実仁会長も「与党協議を見ながら税調として議論したい」と述べた。
 株式などの運用益を非課税にするNISAの拡充は、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」の柱。現行の「つみたてNISA」は、年40万円までの投資が最長20年間非課税となる時限措置となっている。制度の恒久化のほか、年間投資枠や800万円の非課税限度額の拡大を目指す方向だ。
 NISA拡充で家計の資産形成を促進する一方、富裕層への課税強化も検討する。給与所得は段階的に税率が高くなる一方、金融所得は一律20%となっており、金融所得が多い高所得者の税負担率が低下する「1億円の壁」が生じている。これを是正するため、金融所得課税の強化などを議論する。
 燃費性能に応じて自動車重量税を軽減する「エコカー減税」の見直しも焦点だ。23年4月末に迎える期限を延長した上で、適用する燃費基準を厳しくし、対象車を絞り込む方針。電気自動車(EV)普及を見据え、自動車関連税制の将来的な在り方も論点となる。
 このほか、子や孫世代への資産移転促進に向けた相続税と贈与税の見直しもテーマとなる。

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