東京, 6月27日, /AJMEDIA/
ロシアのウクライナ侵攻を契機に、日本を取り巻く安全保障環境に対する関心が高まる中、参院選では防衛力強化が焦点の一つとなっている。与野党の多くが公約で前向きな姿勢を示す一方、世界的な危機に「便乗」した動きとの批判も根強い。
◇GDP比2%で攻防
自民党は、北大西洋条約機構(NATO)が目標に掲げる国内総生産(GDP)比2%の防衛費を念頭に、「来年度から5年以内に防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指す」と明記。日本維新の会とNHK党も、2%程度への増額を打ち出した。
これに対し、公明党は防衛力強化の必要性に理解を示しつつも、防衛費については「額ありきではなく、真に必要な予算の確保を図る」と指摘。自民との立場の違いをにじませた。立憲民主党も「総額ありきではなく、めりはりのある防衛予算で質的向上を図る」と抑制的だ。
国民民主党は「サイバー、宇宙など新たな領域に対処できるよう、必要な防衛費を増額する」と記した。
共産党は「平和と暮らしを壊す軍事費2倍化の大軍拡を許さない」と反対。社民党も同様の姿勢を示している。
公約の中で防衛力強化の財源を明示した政党はなかった。
◇敵基地攻撃、賛否交錯
政府が保有を検討する敵基地攻撃能力をめぐっては、自民、維新、国民などが前向きだ。自民は「弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有する」と主張。維新は「積極防衛能力」、国民は「自衛のための打撃力(反撃力)」の整備を、それぞれ訴えた。
一方、立民は「弾道ミサイル等の脅威への抑止力と対処能力強化を重視する」などの表現にとどめた。共産は「憲法9条の下で許されない」と断じ、れいわ新選組、社民も保有を否定している。
◇目立つ「核」公約
ロシアによる核使用の威嚇を受け、核に関する公約も目立つ。自民は「核の傘」を含む拡大抑止の在り方について「不断に検討」すると強調。ただ、米国の核兵器を受け入れ国が共同運用する「ニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)」には言及しなかった。
維新は核共有を含む拡大抑止の議論開始を求めたが、公明と立民、共産などは反対した。国民は日米両政府による閣僚レベルの拡大抑止協議を提案した。
日米地位協定に関しては、立民と維新、国民、共産、社民が見直しを提起。自民、公明は「あるべき姿」を目指すとの記述にとどめた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設は、自民が推進を明記したのに対し、立民と国民、共産、社民は中止・再検討を求めた。