東京, 11月27日, /AJMEDIA/
沖縄県の玉城デニー知事が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で防衛省が申請した設計変更を承認しないと発表した。今後、国と県との法廷闘争に発展するとみられ、移設がますます遅れる恐れがある。
玉城氏は本気でこの問題を解決しようとしているのか。市街地に囲まれた普天間飛行場の危険を取り除くには、辺野古への移設が唯一の解決策だ。そのことは日米両政府が繰り返し確認している。
玉城氏は不承認を撤回し、国と協力して移設を急ぐべきだ。
設計変更は、移設に向けた辺野古の埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかったため、防衛省が令和2年4月に申請していた。
玉城氏は今回、不承認の理由として「最も重要な地点において必要な調査」が実施されていないことや、「ジュゴンに及ぼす影響について適切に情報」が収集されていないことを挙げた。
前者について防衛省は、複数の地点の地質調査を実施し、強度を算出している。後者については平成31年3月以降、周辺海域でジュゴンは確認されていない。
岸信夫防衛相は「不承認の理由をしっかり精査していく」と述べた。今後、行政不服審査法に基づく対抗措置をとるとみられる。
一方、県は対抗措置が認められた場合、提訴する構えだ。
またも不毛な法廷闘争を繰り返すのか。辺野古移設をめぐる国と県との訴訟で、これまで最高裁を含め計9回の判決が下されているが、いずれも県が敗訴している。これ以上、裁判で移設を遅らせることは許されない。
国にも問題はある。そもそもの原因は、事前の地質調査が十分でなく、埋め立て開始後に設計変更を余儀なくされたことだ。当初5年と見積もっていた工期が9年3カ月に延び、3500億円以上だった総工費の試算が、9300億円に膨れ上がった。
国は猛省し、移設工事の意義を丁寧に説明するとともに、一日も早く、確実に完成させなければならない。そのためには県の協力が不可欠である。
肝心なことは、日米同盟の抑止力を維持したまま、普天間飛行場を移設し、その危険性を除去することだ。玉城氏が無益な対決姿勢を改めない限り、解決が遅れることを忘れてはならない。