東京, 10月10日, /AJMEDIA/
【エーゲ海上・時事】トルコ沖のエーゲ海上で、漂流している難民が連日のように発見されている。トルコから隣国の欧州連合(EU)加盟国ギリシャを経て、より豊かなEU各国を目指す難民だ。越境を阻もうと、ギリシャ沿岸警備隊が目を光らせ、トルコ側に追い返す措置を取っている。
「トルコの海域に人の乗ったボートがある」。8日午前4時半すぎ、トルコ当局にギリシャ側から連絡が入った。警備隊がトルコ西部ディキリの沖合約5キロの現場に急行すると、1隻の小型ボートが波に揺られていた。
乗っていたのは、戦火が続くソマリアとイエメンからトルコに逃れてきた12人。中には生後5カ月の女児や、国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派アルシャバーブの攻撃で家族を失ったという右足が義足の20歳代女性もいた。
12人は直ちにディキリの港に連行された。取材に応じたソマリア人エミン・ウマルさん(20)は「より良い生活のためにベルギーに行きたかった。(密航業者の)アラブ人に300ドル(約3万4000円)支払った」と語った。今後、トルコ国内で拘束され、本国への送還が検討されるが、政情不安から実現は困難だ。
難民のボートは発見時点で推進力を失っており、トルコの警備隊員は「ギリシャ側が燃料を抜き取って押し返し、漂流させた上でトルコ側に通報した」と主張する。
トルコ西部の海岸からは、近いところで数キロしか離れていないギリシャの島を目指す密航が後を絶たない。トルコ治安当局によると、密航業者は渡航希望者を沿岸地域の木が生い茂る場所に長時間潜ませ、海に向かう隙をうかがうなど手引きを巧妙化させ、事前の摘発は困難になっている。
治安当局の集計では、トルコが年始から10月5日までにエーゲ海上で保護したのは計1万3667人。国籍別で最も多いのは3169人のアフガニスタン人で、次いで2336人のシリア人、1784人のソマリア人という。