東京, 11月23日, /AJMEDIA/
文化庁は、宗教法人法に基づく解散命令の請求を視野に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し「質問権」を行使した。過去に同法に基づく解散命令が出た主な例は「オウム真理教」「明覚寺」「大日山法華経寺」の3件。いずれも刑事事件で幹部らが摘発された。旧統一教会は該当しないため、解散命令の要件を民法上の不法行為まで広げて対応した。
要件として宗教法人法81条は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」と規定している。
オウム真理教の請求は1995年6月、東京地検と東京都が行った。東京地裁は、サリン工場とされる「第7サティアン」で検証を実施。サリン製造の企てが要件に該当するとして解散命令を下した。最高裁も「信教の自由を保障した憲法に違反しない」と判断した。
霊視商法詐欺事件を起こした明覚寺では初めて文化庁が請求。99年7月に最高幹部が実刑判決を受けており、同庁は判決文などを取り寄せ、解散請求を検討。同12月に「組織ぐるみの犯罪で、宗教に対する国民の不信感を強めた」として請求した。2002年1月、和歌山地裁は組織的な詐欺行為と認定し、解散を命じた。
大日山法華経寺は、整理回収機構が債権回収を目的に請求した。京都地裁は06年2月、実質支配者が宗教法人を利用した詐欺事件で実刑判決を受けたことや、宗教法人の実態がないこと、競売妨害をしていることが要件に当たると判断した。
旧統一教会は民事で不法行為責任を認定されたことはあるが、幹部が刑事罰を受けた例はない。文化庁はこれまで刑事事件で法人本体の幹部らの責任が認められた場合に解散命令を請求できると解釈してきたが、岸田文雄首相は「民法の不法行為も入り得る」と解釈を変更した。