東京, 7月20日, /AJMEDIA/
【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は18日、人工知能(AI)について協議する初の公開会合を開いた。兵器転用に多くの理事国が懸念を示す中、AI分野でも覇権を争う米中は互いをけん制。国際ルール作りが急がれる中、ロシアは議論が西側主導だと反発した。
急速に進化するAIに対し、国際社会はリスク管理体制を確立できていない。会合に出席したグテレス事務総長は「悪意をもってAIを使えば、恐ろしいほどの死と破壊を引き起こす」と警告。早急な規範策定が必要だと訴えた。
また、AIが人間の判断を介さず目標を設定して攻撃する「自律型致死兵器システム(LAWS)」に関し、法的に禁じる枠組みを2026年までにまとめるよう求めた。非常任理事国のマルタは会合で「LAWSは禁じられるべきだ」と同調。エクアドルは「AIの軍事化と兵器化を拒否する」と明言した。
しかし、米中は近年、軍事分野でのAI技術でも競争を加速させている。この日の会合で、米国のデローレンティス国連次席大使代行は「いかなる国も検閲や拘束、抑圧のためにAIを使用してはならない」と強調。AIの軍事利用を正当化する一方で、ネット空間での統制を強化する中国を念頭に、圧力をかけた。
これに対し、中国の張軍国連大使も「特定の先進国が排他的な『小さなクラブ』を作り、技術的覇権を得ようとしている」と主張。名指しを避けつつ米国批判を展開した。
一方、ロシアのポリャンスキー国連次席大使は、今月の議長国である英国主導で開かれた会合そのものに不満を表明。その上で「超国家的監督機関の設置には反対する」と述べ、一部加盟国が要求するAI規制のための新たな国連機関設立は必要ないとの認識を示した。