東京, 7月04日, /AJMEDIA/
環境省は、発がん性が疑われる化学物質「有機フッ素化合物(PFAS、ピーファス)」を含む泡消火剤の在庫管理を強化する方針だ。こうした泡消火剤は2018年までに製造や使用が原則禁止されたが、商業ビルの地下駐車場などに多く残っているため、自治体が在庫量などを正確に把握できる仕組みを検討する。安全な薬剤への切り替え促進策や適切な廃棄方法も業界団体と協議し、手引を改訂する考えだ。
PFASは水や油をはじく特性があり、かつてはフライパンの表面加工や泡消火剤などさまざまな用途に使われてきた。環境省の20年度の調査結果によると、PFASの代表物質「PFOS(ピーフォス)」を含む泡消火剤は全国の消防機関や空港、自衛隊関連施設、石油コンビナート、商業ビルなどに計約339万リットルが残されている。
このうち消防機関や国管理空港、自衛隊などでは安全な代替薬剤への交換が進んでいる。しかし、主に商業ビルの地下駐車場に残る約80万リットル分については、国、自治体とも管理実態や交換状況を把握しておらず、専門家は「誤って外部に漏れ出すリスクがある」と懸念を示している。
そこで環境省は、民間事業者から自治体の水道・環境部局へ泡消火剤の在庫量や保管場所を定期報告させる仕組みを業界団体と協議する。PFOSなどは1100度以上の焼却で安全に分解できるため、正しい廃棄方法を改めて周知することも検討する。