東京, 10月06日, /AJMEDIA/
自民党は衆院選(19日公示―31日投開票)に向け、候補者が競合する約10選挙区の調整を本格化させた。岸田文雄首相の就任と、5年余り幹事長を務めた二階俊博氏の退任で、党内力学が一変。6競合区に候補を抱える二階派は、2017年の前回衆院選で岸田派と激しく対立した経緯があり、執行部の出方を警戒している。
甘利明幹事長は5日の記者会見で「基本線は現職優先。地元の声をよく聞き、勝ち抜ける候補はどちらかなど、総合的に調整して決めたい」と述べた。
公示が2週間後に迫る中、同党は1次公認の発表を急ぐ。遠藤利明選対委員長は同日、山口泰明前選対委員長らと党本部で会い、競合区の調整状況などを聴取。ただ、それぞれ複雑な事情を抱えており、選対関係者は「1次公認に競合区は入らない」との見通しを示した。
最大の焦点は、二階、岸田両派の有力者同士が競う山口3区だ。二階派会長代行で現職の河村建夫元官房長官に対し、岸田派座長の林芳正元文部科学相が参院からのくら替えを狙う。党山口県連は1日、林氏の公認申請を決定。河村氏は2日、山口県宇部市で記者団に「総裁が代わろうが幹事長が代わろうが原則がある」と現職優先を訴えた。
両派は17年衆院選の山梨2区でも激しく争った。党の選挙区支部長は岸田派で比例復活の堀内詔子氏だったが、二階派特別会員で無所属現職の長崎幸太郎氏(現山梨県知事)も公認を主張。原則に従えば堀内氏に公認を与えることになるが、当時の二階幹事長は双方を無所属とする裁定を下し、党内の反発を招いた。
二階派はこれまで、野党出身者らを加入させるなど、規模拡大にまい進してきた。今回の静岡5区も、同派特別会員で無所属現職の細野豪志氏と、岸田派で繰り上げ当選の吉川赳氏が激突。群馬1区と新潟2区では、最大派閥の細田派とせめぎ合う。
静岡5区について、岸田派幹部は「吉川氏の公認は決まっている。執行部はこっち側だ」と強調。一方、二階派若手は「うちは行儀が悪かったから嫌がらせをされるだろう」と漏らす。ただ、党内には「首相がやりたいようにやったらそれこそ問題だ」(旧竹下派幹部)との声もあり、執行部は難しい判断を迫られそうだ。