荒川、挑む世界の壁 悲願のメダル獲得へ―ローイング・パリの灯は近く

東京, 6月20日 /AJMEDIA/

 日本のローイング競技の歴史は100年を超えるが、五輪のメダルに手が届いた選手はまだいない。男子シングルスカルの荒川龍太(29)=NTT東日本=は、自身2度目の五輪で悲願のメダル獲得に挑む。

 高校まではバスケットボール部。一橋大に進学後、「日本一を目指す」とうたうボート部のプロモーション映像に興味を持った。新入生歓迎イベントに行ったところ、半ば強引な勧誘を受けて、競技を始めた。

 ローイングは身長が高く手足が長いほど、一こぎの推進力が大きくなる。荒川は185センチの長身を生かして才能を発揮。わずか3年ほどで、日本代表候補に選ばれるまでに成長した。今では五輪のメダルに最も近い存在として、期待を一身に背負う。

 もっとも、荒川も世界に交じると大柄とは言えない。シングルスカルは、体重制限がない「オープン種目」で、屈強な選手ほど有利。体格で劣る分、効率よく船を進めるこぎ方を追い求め、強豪とも渡り合える力を付けてきた。

 昨夏のワールドカップ(W杯)で3位に入り、日本選手で初めてオープン種目の表彰台に立った。続くW杯でも、別種目の東京五輪金メダリストと競り合って4位。「この二つでかなり自信が付いた」と胸を張る。

 東京五輪は11位。日本男子がシングルスカルで出るだけでも、1996年アトランタ大会以来の快挙だった。当時は五輪出場が一番の目標だったが、目の前でメダルを獲得して喜ぶ選手を見て意識が変わった。「現実を突きつけられた。パリでメダルを取る、活躍することを頭に入れてずっと過ごしてきた」

 遠かった世界トップの背中が近づいてきた実感はある。「自分の力を100%出し切ればメダルを取れるところにいる」。歴史をつくるため、万全の準備をするだけだ。

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