英仏独首脳、気もそぞろ 選挙で政権存続の危機―G7サミット

東京, 6月16日 /AJMEDIA/

 英仏独の欧州3カ国首脳にとって、今年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)は選挙で気もそぞろの会合となった。14日に採択されたG7首脳声明は、協調と結束を演出した。しかし、自国内では物価高や経済格差、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援疲れに有権者の不満が鬱積(うっせき)。政権は足元に火が付き、存続すら危ぶまれる状況だ。

 「ウクライナには大金を送るのに、フランス人には何もない」。サミット直前、仏政府に憤る若者の声が公共放送で伝えられた。仏社会は約1年前の大規模暴動で深刻な分断が露呈。有権者の怒りは、外交で派手に立ち回りながら年金改革で国民に痛みを強いるマクロン政権に向けられている。

 フランスで9日に行われた欧州連合(EU)欧州議会選では、不満票の受け皿となった極右政党が躍進し、与党連合は大敗。この結果を受け、マクロン大統領は下院の解散・総選挙を表明した。「国民の怒りはよく分かった」と、政権選択を有権者に委ねたが、与党は敗色濃厚だ。

 ドイツの状況も穏やかでない。終わりの見えないウクライナ支援に、国民の間では早期和平への待望論が拡大。欧州議会選では政権批判票が野党に集まり、ショルツ首相を支える社会民主党など連立与党3党は敗北した。

 与党は来年の総選挙でも敗れ、政権が交代するとの見方が有力だ。欧米メディアは、問題は既に「ショルツ政権がいつまで持つかだ」と伝えた。

 英国では7月4日投票の総選挙に向けて、舌戦が過熱。2010年から政権を担う保守党は、EU離脱やコロナ禍を巡る混乱、相次ぐスキャンダルで支持離れが進み、歴史的大敗を喫するシナリオが現実味を帯びている。

 サミット2日目、スナク英首相がイタリアから英メディアに語ったのは野党批判だった。国際会議に出席しても「心ここにあらず」という印象を残したのは否めない。

 英仏独と対照的に、危なげないかじ取りを続けるのがG7議長国イタリアのメローニ首相だ。極右政党を率い、今回の欧州議会選で一段と求心力を高めた。短命内閣が代名詞だったイタリアだが、今やG7で有数の安定政権となっている。

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