東京, 10月13日, /AJMEDIA/
猛者が集った柔道の世界選手権(タシケント)男子100キロ級で、日本育ちのカナダ代表が躍進した。2位に入ったカヨル・レイズ(29)=日本中央競馬会=は「けがと手術ばかりだったが、やめないでよかった」と言って、声を詰まらせた。
父はフィリピン人で母がカナダ人。幼少期から日本で育ち、2013年に世界ジュニア選手権を制した。卒業した今も練習拠点を置く日大の金野潤監督(全柔連強化委員長)は、高校時代に初めて見た時の印象を「天才だなと思った。正直、もっと早く世界の上位に来る予定だった」と言う。
カナダ代表で出場した16年リオデジャネイロ五輪は初戦で敗退。肩、膝、肘と手術を重ね、近年は低迷していた。「苦しいことばかり。手術して弱くなるし、感覚も変になった」と振り返る。
心が折れそうになった中で「このまま終わりたくない。今年、結果が出なかったら」と腹をくくった。その変化は金野監督も感じており、「トレーニングや食事も全て、細かく高い意識でやっていた」。今大会では準々決勝と準決勝で技ありを奪われてから逆転。「精神的なタフさもあってうれしかった」と、教え子の成長に目を細める。
レイズは「柔道に対する考えも変わった」と笑う。「勝たなきゃ」から「できるだけ楽しむ」へ。2年後のパリ五輪では日本勢の強力なライバルになるかもしれない。