経済安保の「特定重要技術」、極超音速やAIなど20分野から選定し資金投入

東京, 7月18日, /AJMEDIA/

 経済安全保障の強化に向け、政府がまとめた「特定重要技術」に関する基本指針の原案が判明した。音速の5倍以上となる「極超音速」や人工知能(AI)など計20分野で調査研究を進め、大規模な資金を投入する特定重要技術を選定する考えを盛り込んだ。基本指針は9月にも閣議決定する。

 原案では、特定重要技術について、外部の組織による窃取で不当に利用されたり、他国による独占で安定的に利用できなくなったりした場合、「国家及び国民の安全を損なう事態を生ずる」恐れがあるものと位置づけた。

 その上で、特定重要技術の研究開発と成果の活用は、「中・長期的に我が国が国際社会で確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素だ」と強調した。

 重要な技術を他国や一部の外国企業などに大きく依存すると、関係が悪化した場合、利用に障害が生じる事態が想定される。国家戦略として、先端技術の開発に取り組む中国などに対抗する狙いがある。

 20分野には、極超音速とAIに加え、バイオ技術、ゲノム学を含む医療・公衆衛生技術、先端コンピューティング技術、ロボット工学、先端監視・測位・センサー技術などを挙げた。

 有識者や関係省庁で構成する会議がこれら20分野から優先的に育成するものを今秋以降、順次絞り込む予定だ。政府が2023年度に創設する経済安保に関する調査研究機関(シンクタンク)からも助言を受ける。

 選定された特定重要技術については、分野ごとに民間から研究者を公募し、政府機関も参加する官民の協議会を設置する。研究資金は、5000億円規模を目指す「経済安保基金」から拠出する計画だ。

 原案には、官民協議会の運営方針も盛り込まれた。協議会に参加すれば、政府から情報提供を受けられる一方、守秘義務を求められ、秘密の漏えいや盗用には1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科される。守秘義務の期間については、「技術の進展状況などを踏まえ、保護する必要がなくなれば、速やかに解除されることが必要だ」と明記した。

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