米、TikTok規制にハードル 中国政府がけん制―CEO議会証言

東京, 3月25日, /AJMEDIA/

【ワシントン時事】中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の周受資・最高経営責任者(CEO)は23日、米議会下院の公聴会で初めて証言し、中国当局への流出が懸念される利用者情報について「中国政府と共有したことはない」と説明した。一方、中国の親会社からTikTokを切り離す売却案や、アプリの禁止案には反発。議会の追及は5時間超に及んだ。中国政府が介入方針を示すなど、規制に向けたハードルの高さも浮き彫りとなった。
中国当局との関係、台湾有事をにらんだ情報操作、未成年に与える悪影響―。議会は国家安全保障の脅威になるとしてTikTokの一般利用禁止を視野に入れた法整備を進めており、公聴会で厳しい矛先を向けた。背景には、2017年に施行された中国の「国家情報法」が中国企業に当局への協力を義務付けたことがある。
 「中国共産党や政府が所有する国有企業ではない」。周氏は親会社の中国IT大手・字節跳動(バイトダンス)が当局の支配下にない民間企業だと強調し、「中国色」の払拭(ふっしょく)に努めた。バイトダンスの従業員が米メディア記者の位置情報を追跡していた問題についても「スパイ行為という表現は適切ではない」と釈明した。
 紛糾する火種となったのが、公聴会直前に中国政府が発表した声明だ。バイデン米政権がバイトダンスにTikTokの売却を要請したことに「断固反対」(商務省)を表明。売却には中国当局の承認が必要だと訴えた。一方、米政府も「安保上の懸念がある取引は一切許可しない」(財務省)と異例の声明を出して応戦した。
 TikTokはトランプ前政権時にも「売却か禁止」を迫られたが、中国当局の介入を受け、米ソフトウエア大手オラクルと共に情報管理を行う「提携」に落ち着いた。周氏は「米国で1億人以上に『表現の自由』を与えている」「親会社がどの国の企業かは問題ではない」などと強硬策に改めて反発。再燃したTikTokを巡る米中の主導権争いは、先行き不透明な情勢だ。

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