東京, 11月14日, /AJMEDIA/
チケットを不当に転売していると言いがかりをつけ、インターネットのサイトに18歳の女性を中傷する動画を投稿したとして名誉毀損の疑いで逮捕されたユーチューバーが、問題の動画を自分のスマートフォンから投稿していたとみられることが捜査関係者への取材で分かりました。動画には女性を取り囲むように複数の人物が写っていたということで、警視庁はほかにも投稿に関わった人物がいないかなど、詳しく調べています。
「煉獄コロアキ」の名前でユーチューバーとして活動する杉田一明容疑者(40)は、ことし9月、18歳の女性にチケットを不当に転売していると言いがかりをつけ、「チケットを8万円で売っているよね」とか「パパ活やっているでしょ」などと中傷する様子を撮影した動画をサイトに投稿したとして名誉毀損の疑いで13日、警視庁に逮捕されました。
警視庁が押収したユーチューバーのスマートフォンなどを解析したところ、この動画はユーチューバー本人のスマートフォンから投稿されていたとみられることが捜査関係者への取材で分かりました。
動画には複数の人物が女性を取り囲む様子が写っていて、女性は警視庁に対し、「5、6人の男に囲まれて動画を撮影された」と話しているということです。
警視庁は、ユーチューバーのほかに動画の投稿に関わった人物がいないかなど詳しく調べています。
専門家「自主規制の仕組みを整えていく必要がある」
メディア論に詳しい東海大学広報メディア学科の樋口喜昭教授は、いわゆる「私人逮捕」の動画が投稿されるようになった経緯について、「もともと迷惑系と言われた動画があったが、見ている側が『これは良いのだろうか』と思うようになり、社会的な問題にもなった。ユーチューバーが取締りを受けてやめる方向になるなかで、正義を振りかざす『暴露系』だとか『私人逮捕系』と呼ばれる動画が生まれてきたのではないか」と指摘しています。
そして、ユーチューバーは、ほかとの差別化を図ってアクセス数を増やしたいという本心があるとしたうえで、「たとえ撮られる側が犯罪と捉えられる行為をしていたとしても、よりインパクトのある映像を撮ろうと、結果的に一線を越えてしまい、人権を損なうことが起きているのではないか」と話しました。
樋口教授は、動画投稿サイトは、誰もが自由に映像の表現ができるメリットがあり、社会的な影響力が増しているメディアだとしたうえで、「ユーチューバーは、自分のやっていることが公共的な考え方に照らして本当に大丈夫かどうかは知る必要がある。動画投稿サイトは、まだ若いメディアなので、過去の事例を参考に自主規制の仕組みを整えていく必要があると思う」と話していました。