東京, 9月20日, /AJMEDIA/
【ベルリン時事】26日投開票のドイツ連邦議会(下院)選挙まで、あと約1週間。世論調査では、中道左派・社民党を、メルケル首相の中道右派、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が追う、二大政党の接戦が展開されている。引退するメルケル氏の後任には選挙後の連立交渉で主導権を握った党の首相候補が就任するが、多くの党が絡む交渉は複雑で、情勢は不透明だ。
公共放送ARDが16日発表した世論調査では、支持率は社民党が26%で首位。CDU・CSUが22%で続き、第三極として期待された緑の党は15%と伸び悩んでいる。
大連立政権でCDU・CSUの陰に隠れ長く低迷していた社民党の健闘は、首相候補、ショルツ副首相兼財務相の人気による部分が大きい。弁護士出身で、新型コロナウイルス拡大下で財政緊縮を封印し、大型経済対策を主導するなど手腕を発揮。ライバル2党の候補が選挙戦で失態を重ねる中、安定感が評価されている。選挙戦では高所得者の税負担強化などによる格差是正を訴え。CDU・CSU主導の政権が続けば「国民の豊かさと雇用が犠牲になる」と、政権奪取に意欲を見せる。
一方のCDU・CSUは、地味さが指摘される党首であるラシェット首相候補の人気はいまひとつ。7月に発生した洪水被災地で談笑する姿が撮影されたことも尾を引いている。
緑の党はベーアボック首相候補の盗作疑惑などで失速したが、社民党、CDU・CSUの双方から有力な連立相手とみられており、連立交渉でキャスチングボートを握る可能性はある。ただ、過半数獲得には二大政党のどちらかと緑の党に、さらに1党を加えた3党の連立が必要になる可能性が高い。このため、多くの組み合わせがあり、交渉が複雑化する公算が大きい。