東京, 5月27日, /AJMEDIA/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラなどを告発した元県民局長(昨年7月死亡)の私的情報が漏れた問題で、県の第三者調査委員会は27日、井ノ本知明・前総務部長が県議に漏えいしたとの報告書を公表した。漏えいは、斎藤氏と片山安孝元副知事の指示の下に行われた可能性が高いと指摘。県は井ノ本前部長を停職3カ月の懲戒処分とした。
報告書によると、元局長が作成・配布した告発文書について県が昨年3月に調査したところ、公用パソコンに保存された私的情報が見つかった。井ノ本前部長は昨年4月、私的情報に関して印刷した資料の一部を県議3人に示すとともに、口頭で説明するなどして秘密を漏らした。
漏えいの目的を巡り、県議3人の受け止めとして、元局長の私的情報を暴露することで、その人間性に疑問を抱かせ、告発文書の信用性に影響を与える点にあったとの見方に言及。これについて、報告書は「一定の説得力がある」と強調した。
また、前部長の証言によると、斎藤氏に対して私的情報の存在を報告した際、斎藤氏からは「そのような文書があることを、議員に情報共有しておいたら」との指示があったという。これに関して、第三者委が関係者から聞き取り調査を行ったところ、斎藤氏と片山元副知事の指示の下、井ノ本前部長が「根回し」の趣旨で県議に漏えいした可能性が高いと認定した。
ただ、斎藤氏は第三者委に対して「私的情報があったという報告があったとは思うが、その処理に関して何かを指示したことはない。井ノ本前部長の独自の判断で議会側との情報共有をしたと思う」と否定している。
一方、県は井ノ本前部長について、停職処分とするものの、刑事告発をしないと発表した。停職により社会的、経済的制裁を加えており、これ以上の刑事罰は求めないと説明している。これに対し、井ノ本前部長は処分を巡って、「私の業務行為が情報漏えいと評価され残念だ。審査請求と執行停止の申し立てを行い、正当性を主張したい」とのコメントを公表した。