水に浮くランドセル開発 静岡の企業、震災教訓に―救命胴衣に活用

東京, 3月26日, /AJMEDIA/

 津波や豪雨などによる水難事故から子どもの命を守ろうと、静岡県のメーカーが水に浮くランドセルを開発した。2011年の東日本大震災を教訓に考案され、救命胴衣として活用できるのが特徴。担当者は「子どもが普段から身に着ける防災用品として役立てば」と話している。
開発したのは浜松市で眼鏡用品などの製造販売を手掛ける「栄商会」。ウレタン素材の浮体が入ったランドセルのふたを、背中から体の前までめくり上げ、付属のベルトを締めることで救命胴衣として活用できる。救助を求めるのに使うホイッスルも付けている。「ウクラン」の名称で1日から販売を開始した。
 同社によると、水に浮くランドセルは浜松市の70代男性が発案した。男性は震災の翌年、津波で児童ら84人が犠牲となった宮城県石巻市の旧大川小学校を訪れ、大きなショックを受けた。「子どもが津波から助かる方法はなかったのか」と考えた末、救命胴衣を兼ねたランドセルを思い付いたという。
 男性から相談を受けた同社は18年2月、商品化に向けた打ち合わせを開始。約4年かけてウクランを完成させた。同社の吉沢隆社長(64)は「浜松市も海が近い地域。商品開発を進める中で、南海トラフ巨大地震など次の災害に備えた対策は必要だと感じた」と話す。
 今後は全国各地の防災展示会に出展し、ウクランの知名度向上を図るという。吉沢社長は「子どもが小学校を卒業したら、家庭用の防災バッグとしても活用できる。一人でも多くの命を助ける一助になれば」と期待を寄せた。

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