東京, 7月03日, /AJMEDIA/
静岡県熱海市で2021年7月に起きた土石流災害では、関連死を含む28人が犠牲となった。最後まで行方が分からなかった太田和子さん=当時(80)=の遺骨が見つかったのは、発生から1年半が経過した今年1月。長男の朋晃さん(57)は「中ぶらりんだった」という気持ちに区切りが付き、初めて市主催の追悼式に参列するという。
帰還可能3割、見えぬ将来 避難217人、9月に警戒解除―3日熱海土石流2年
朋晃さんは和子さんと妻、息子2人と一緒に熱海市伊豆山で暮らしていた。21年7月3日午前11時ごろ、息子から「土砂崩れがあったらしい」と連絡を受け、心配になって仕事先から戻ると、自宅は流され跡形もなかった。和子さんは大雨でデイサービスが休みとなり、自宅にいて土石流に巻き込まれたとみられる。
県警などが捜索を続けたが、和子さんの手掛かりはほとんど得られず、市内の土砂仮置き場で腕の骨の一部が発見されるまで、「どうしていいのか分からなかった」という。「母が行方不明ということを認めたくなかったのかな」と振り返る。
遺骨が見つかってからは、現場近くで毎月3日の月命日に行われている黙とうに足を運ぶようになった。「今年は追悼式にも出たい」と話す。
気持ちの整理がつかない間、捜索では他の犠牲者の遺品などが見つかり、遺族の元へ届けられた。今は「母がすぐに出てこなかったということにも、何かしら意味があるのかも」と思っている。
朋晃さんは熱海市内の民間借り上げ住宅で生活している。市は立ち入り禁止となっている警戒区域を9月に解除する方針だが、自宅が流されたため、すぐに戻ることは難しい。それでも生まれ育った「伊豆山の地は離れたくない」という。