月末投票へ舌戦火ぶた 極右が焦点―仏下院選

東京, 6月18日 /AJMEDIA/

30日に第1回投票が行われるフランス国民議会(下院、定数577)選挙は17日、各党の選挙運動が正式にスタートし、舌戦の火ぶたが切られた。欧州連合(EU)欧州議会選に圧勝して波に乗る極右野党・国民連合(RN)が総選挙も制し、中道のマクロン大統領(46)と政権を分担する事態となるかが最大の焦点だ。

 マクロン氏が9日、欧州議会選での与党連合の大敗を受け、下院の解散・総選挙を発表。月末までの短期決戦に、国内は既に選挙一色となっている。

 選挙戦は極右、中道与党、左派連合による三つどもえの争い。世論調査ではルペン前党首(55)が統率するRNが支持率30%強でトップを走り、左派が25%前後、与党も約20%で追う。選挙は2回投票制。決選投票は7月7日に実施される。

 RNは、第2次大戦中にナチス・ドイツに協力したビシー政権の元関係者らが結党に関わった「国民戦線」が前身。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を巡る対独協力は多くの仏国民にとって歴史上の汚点で、同党は長らく敵視されてきた。

 しかし、2018年に現在の党名に変更。「脱悪魔化」と呼ばれるソフト路線への転換も図り、支持を拡大した。主な主張は移民対策の強化。自国第一主義で、ウクライナ支援に不満を抱く層の受け皿にもなっている。

 与党はアタル首相(35)が選挙戦の陣頭指揮を執る。マクロン氏に下院の解散を告げられた際は、代わりに自分の解任を提案し、総選挙を思いとどまるよう懇願したと伝わる。アタル氏の懸念通り、与党は議席の大幅減が見込まれている。

 一方、左派は選挙連合を「新人民戦線」と命名した。ファシズムに対抗して1935年に結成され、総選挙に勝利した「人民戦線」にあやかる。17年に退任した社会党出身のオランド前大統領(69)が統一候補として出馬。「極右の台頭を許すまじ」と活気づく。

 低迷が続く中道右派の共和党では、シオティ党首が極右との協力を訴えてひんしゅくを買い、除名処分を受けた。ただ、シオティ氏になびく者もおり、党は割れた状態で選挙戦に突入した。

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