日本政府、原爆正当化の対応苦慮 米重鎮が繰り返し主張

東京, 5月14日 /AJMEDIA/

 日本政府は、米国内で第2次世界大戦の広島、長崎への原爆投下を正当化する発言が相次いだことに懸念を強めている。米国では原爆投下に肯定的な意見も多いが、日本は核兵器使用を容認しない立場のためだ。米側に申し入れているが発言は止まらず、対応に苦慮している。

 米共和党の重鎮グラム上院議員は8日の上院歳出委員会の小委員会で、原爆投下を正当化する発言をした。同氏は有力議員の一人で、トランプ前大統領にも近い。

 発言はパレスチナ情勢でイスラエル支援を訴える中でのものだったが、日本政府は申し入れを行った。にもかかわらず、グラム氏は12日のテレビ番組でも原爆投下について「正しい決断」と唱え、戦争終結に寄与したとの認識を示した。

 オースティン国防長官も8日の米議会で、グラム氏の質問に答える形で、広島、長崎への原爆投下は第2次大戦を終わらせるために必要だったとの見解を示した。

 林芳正官房長官は13日の記者会見で、「極めて残念に思う」と表明。原爆投下について「大変多くの尊い命を奪い、病気や障害などで言葉に尽くせない苦難を強いた、人道上極めて遺憾な事態をもたらした」と指摘した。

 政府は被爆に関する正確な理解を促すため、不断の努力を続ける考えだ。ただ、外務省幹部は申し入れについて「日本政府の考えを伝えるだけだ」と述べ、限界があることを認める。

 日米関係は4月に岸田文雄首相が国賓待遇で訪米し、首脳間の結束をアピールしたばかりだが、水を差しかねない状況だ。バイデン大統領は1日、日本を中国やロシアと並べて「外国人嫌い」の国と発言。日本政府はバイデン氏発言にも抗議しており、日米間の新たな火種となる可能性もある。

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