日大理事ら逮捕 病院建設めぐる背任容疑―医療法人前理事長も・東京地検

東京, 10月07日, /AJMEDIA/

日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建設工事をめぐる事件で、東京地検特捜部は7日、同大に2億2000万円の損害を与えたとして、背任容疑で日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)と大阪市の医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳容疑者(61)を逮捕した。

 日本有数の私立大学をめぐる事件は、現役幹部の逮捕という事態に発展した。特捜部は不透明な資金の流れの全容解明を目指す。

 特捜部は7日午後、事件の関係先として杉並区の田中英寿同大理事長(74)の自宅を家宅捜索した。

 逮捕容疑は昨年2月中旬ごろ、板橋病院の建て替え工事の設計業務をめぐり、業者選定のためのプロポーザルで都内の設計会社が1位になるよう評価点を改ざん。設計会社を業者に選定させた上、同5月ごろ、同社取締役に着手金約7億3000万円のうち2億2000万円を籔本容疑者が全株式を所有するコンサルタント会社(港区)に送金するよう指示し、同8月上旬に実際に送金させて日大に損害を与えた疑い。

 コンサル会社は実体のないペーパーカンパニーだった。業者選定などの業務は、日大が全額出資して設立し、物品の調達や施設の管理・運営を担う「日本大学事業部」(世田谷区)に委託され、井ノ口容疑者は同社の取締役を務めていた。

 関係者によると、井ノ口容疑者は特捜部の任意の事情聴取に対し、「知らない」と関与を否定したという。

 井ノ口容疑者をめぐっては、コンサル会社に資金が送金された後、錦秀会のグループ会社から複数の会社を通じて数千万円を受け取った疑いもあり、特捜部は関連を調べている。

 特捜部は今年9月、関係先として日大本部(千代田区)や日本大学事業部のほか、田中理事長の自宅などを一斉に捜索。資金の流れの解明を進めていた。

 日大は「誠に遺憾。捜査に引き続き全面的に協力していく」とのコメントを発表した。

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