施政方針、コロナ対策「恐れず冷静に」 消費喚起言及せず―19日から代表質問

東京, 1月18日, /AJMEDIA/

 第208通常国会が17日召集された。岸田文雄首相は衆参両院本会議で就任後初の施政方針演説に臨み、新型コロナウイルス対策について「過度に恐れることなく、対応を冷静に進める」と表明した。ただ、感染「第6波」到来を踏まえ、消費喚起策への言及は見送った。
 両院では19日から各党代表質問が行われ、夏の参院選をにらんだ与野党の論戦がスタートする。
 首相は変異株「オミクロン株」について、重症化率は低い可能性があるとして「メリハリをつけた対策を講じる」と強調。ワクチン3回目接種前倒しや無料検査の拡充を進める考えを示した。
 将来の感染症危機に備え、司令塔機能強化などの改革案を6月をめどに取りまとめることも約束。昨年12月の所信表明演説で意欲を見せていた観光支援事業「Go To トラベル」再開など当面の消費喚起策には触れなかった。
 一方、首相は「経済再生の要は『新しい資本主義』の実現だ」と訴えた。グランドデザインと実行計画を今春取りまとめる方針を示し、具体策として、高速大容量通信規格「5G」基地局の信号機併設や最低賃金の全国加重平均1000円以上の早期実現などを挙げた。
 気候変動分野では「投資を早急に少なくとも倍増させる」と主張。日本の技術を活用してアジアの脱炭素化に貢献する「アジア・ゼロエミッション共同体」創設構想を打ち出し、核融合などの論点にも方向性を見いだしていく考えを示した。
 外交分野では「新時代リアリズム外交」を掲げ、「したたかさが試される1年だ」と指摘。「中国に主張すべきは主張」する一方、今年が日中国交正常化50周年であることを念頭に「建設的かつ安定的な関係の構築を目指す」と語った。
 北方領土問題に関しては「2018年以降の首脳間のやりとりを引き継ぐ」と述べ、歯舞・色丹2島引き渡しにかじを切ったとされる18年の日ロ合意の継承を明言。「核兵器のない世界」実現に向け、各国首脳経験者らを集めた「国際賢人会議」を年内に地元・広島で開く構想を披露した。
 沖縄については5月の本土復帰50周年の節目に「歴史に思いをいたす」としつつ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設は推進すると強調。憲法改正に関しては今国会での積極的議論を呼び掛けるにとどめた。
 首相は演説を締めくくる際、国土交通省の統計書き換え問題を取り上げ、「検証結果を真摯(しんし)に受け止め、国民におわびする」と陳謝した。

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