東京, 10月09日, /AJMEDIA/
政府が、安全保障上重要な戦略物資や技術の確保に向けた政策を拡充するため「経済安全保障室」を新設する方針を固めたことが8日、分かった。近く内閣官房を中心に組織を整える。岸田内閣が来年の通常国会に提出を目指す経済安保法案の準備を主導する。
米国と中国の対立激化や新型コロナウイルス感染拡大により、半導体や医薬品、高速大容量規格「5G」など戦略分野の重要性は増しており、岸田文雄首相は経済安保を政策の柱に位置付けた。新設の経済安全保障担当相に小林鷹之氏を起用。外国資本による国内企業への投資を審査する外為法を軸に、個別業種に関する法律を束ねる形で、経済安保推進のための法案を検討する。
経済安保室は、外為法を所管する経済産業、財務両省の出向者を中心に当面20~30人規模とし、小林経済安保相を補佐する。
法案には放送や通信、銀行への外資による出資やシステム整備を、経済と安全保障両面の視点で監督できる仕組みを盛り込む方向だ。政府はデジタル化や脱炭素化などを考慮し、半導体と電気自動車(EV)用先端電池、レアアース(希土類)、医薬品を重要物資に設定し、調達網の強化を支える措置も検討する。
政府が昨年4月、国家安全保障局(NSS)に経済分野対応のため設置した「経済班」は、コロナ禍での医療物資の調達・分析など緊急事態に対応している。経済安保室は当面、法案作成に専念する見通しだ。