強制労働廃止条約、批准へ審議 新疆の人権批判回避か―中国

東京, 4月14日, /AJMEDIA

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は、18~20日に北京で開く会議で、国際労働機関(ILO)が1957年に採択した「強制労働廃止条約」の批准に向けた審議を行う。同条約は、政治的圧制や教育の手段、宗教的差別待遇などとしての強制労働を禁止する内容。欧米などは中国が新疆ウイグル自治区で強制労働を行っていると非難しており、批准によりこうした批判を避ける狙いがあるとみられる。
 条約はILO加盟187カ国中、176カ国が批准し、日本も批准に向けた準備を進めている。中国が批准すれば、条約の規定について、国内での実施状況を定期的にILOに報告する義務を負う。一方、ILOには強制的に現地を査察する権限はない。
 米国は昨年末にウイグル自治区からの輸入を全面禁止する「ウイグル強制労働防止法」を成立させるなど、強制労働への監視を強めてきた。企業側でも、サプライチェーン(供給網)全体で人権問題を調査する動きが広がっている。
 中国は一連の批判に「強制労働は全くのデマ」(外務省報道官)などと反発してきた。5月には国連人権高等弁務官が同自治区を訪問する予定だが、中国側は「交流目的」であり、人権侵害問題に関する調査ではないと強調している。
 ウイグル問題をめぐっては、日本企業でもカジュアル衣料「ユニクロ」のシャツが昨年1月、米税関で輸入差し止めとなるなど、目に見える影響が広がっている。中国としても何らかの対応を示して対抗する必要が生じていた。

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