平和サミットに米大統領欠席か ウクライナ主導、実効性問われる

東京, 5月29日 /AJMEDIA/

 ウクライナのゼレンスキー大統領が提唱し、スイスで6月15、16両日に開かれる「平和サミット」に、バイデン米大統領が出席しない可能性が高まった。侵攻したロシアはもともと不参加で「停戦交渉」とは呼べず、仲介に意欲を示す中国の協力も不透明だ。戦闘の終結につなげられるか、実効性が問われる事態となっている。

 「傍観するリーダーに訴えたい。指導力を発揮してほしい」。ゼレンスキー氏は26日公表のビデオ演説で、バイデン氏らを名指しした上で参加を呼び掛けた。

 平和サミットは、ゼレンスキー氏が10項目の和平案「平和の公式」の実現に向け、開催を求めた。岸田文雄首相のほか、カナダのトルドー首相、ドイツのショルツ首相らが出席する方向。10項目は占領軍撤退や領土回復が柱だが、ロシアは拒絶している。

 米ブルームバーグ通信によると、バイデン氏は米大統領選の資金集めを優先し、イタリアでの6月13~15日の先進7カ国首脳会議(G7サミット)後に帰国。ハリス副大統領も平和サミットに出席しないという。

 「平和サミットに関する悲観論」(ブルームバーグ)が広がる中、ウクライナは方針の修正に入った。ゼレンスキー氏は最近、中央アジアのメディアとの会見で、スイスでは10項目すべてを議題とせず、ロシア占領下のザポロジエ原発の安全など3項目に絞ると明言した。新興・途上国「グローバルサウス」は中立姿勢が目立つ。このため、ゼレンスキー氏は合意を得やすい項目に集中し、「(ロシア軍撤退など)分断させるものは脇に置く」と説明した。

 一方、中国は「ロシアとウクライナ双方が認める国際平和会議の適時開催を支持する」(習近平国家主席)と表明し、スイスでの会議と距離を置く。仲介役を担うトルコ、新興国グループ「BRICS」の一角ブラジルもおおむね同様の立場だ。

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