東京, 10月6日, /AJMEDIA/
7月の参院選後初の本格的な国会論戦が5日、スタートした。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や安倍晋三元首相の国葬をめぐる問題で逆風にさらされる岸田文雄首相は国葬のルールづくりを打ち出すなど信頼回復に全力を挙げた。しかし、立憲民主党は旧統一教会問題を徹底追及する姿勢を強めており、首相は守りに専念せざるを得なかった。
「議長、あなたが示した一枚紙では全く説明不足だ。真相を語るべきだ」。衆院で行われた各党代表質問。最初に登壇した立民の泉健太代表は、背後の議長席に顔を向けながら細田博之衆院議長をただす「極めて異例」(衆院関係者)な手法で教団に関する質疑を始めた。
細田氏は自民党出身。本会議場が「失礼だ」などと怒号に包まれる中、泉氏は「答弁できぬならしぐさで答えてほしい。寄付金受け取りやパーティー券購入はないか」「安倍元首相に報告したか」と矢継ぎ早に質問。細田氏は最後にようやく泉氏に目を向けるのが精いっぱいだった。
参院選から3カ月近くが経過し、政権を取り巻く空気は一変した。安倍氏銃撃事件をきっかけに旧統一教会と自民党議員の接点が次々と明らかになり、国葬反対の世論が拡大。内閣支持率は続落し、泉氏は政権への対決姿勢を強めた。
立民が標的とするのが教団と関係が深かったとされる安倍派の前会長細田氏と、新たな接点が次々に発覚する山際大志郎経済再生担当相だ。
泉氏は首相に「山際氏を更迭しないのか」と要求。「自民党は自治体議員を(接点点検の)対象から外したままだ」と地方議員を含めた調査を迫った。首相は「山際氏は自ら丁寧に説明を尽くす必要がある」「地方議員も含めて対応を徹底する」などと苦しい答弁に追われた。
首相は自民党議員の質問に答える形で「国葬に一定のルールを設けることを目指す」と踏み込んだが、追及はやまなかった。立民の西村智奈美代表代行は山際氏に「旧統一教会の反社会性を認識しているか」と質問。山際氏は「(教団に)お墨付きを与えたことを真摯(しんし)に反省している」と防戦一方だった。
代表質問は7日まで。17日からは一問一答形式の予算委員会が始まる。質問を終えた泉氏は記者団を前に、首相の名字にかけ「からっきしだ」と余裕の表情。立民幹部は「統一教会国会だ」と言い切った。自民党幹部は「このままでは来年の通常国会になっても追及は収まらない」と頭を抱えた。