将棋 西山女流三冠敗れる 初の女性プロ棋士誕生ならず

東京, 1月22日, /AJMEDIA/

将棋の女流棋士、西山朋佳女流三冠(29)は22日、プロ棋士を目指して挑む「編入試験」五番勝負の最終局に臨みました。西山女流三冠は得意の戦型で挑みましたが敗れ、今回の試験でのプロ入りはなりませんでした。

西山女流三冠はプロ棋士との対局で好成績を挙げたことなどから、プロへの「編入試験」の受験資格を獲得し、去年9月から四段の若手棋士との五番勝負に臨んでいて、ここまで2勝2敗と合格に王手をかけていました。

最終局となる第5局は午前10時から大阪 高槻市の関西将棋会館で行われ、柵木幹太四段(26)が試験官として対局しました。

後手の西山女流三冠は得意とする「飛車」を横に動かす「振り飛車」の戦型をとって攻めの姿勢を見せますが、柵木四段の慎重な指し回しで「飛車」の動きを封じられるなど持ち味をうまく発揮できません。

終盤、西山女流三冠は持ち時間がなくなり、1手を60秒未満で指す「1分将棋」に追い込まれながらも逆転を狙いますが午後5時54分、135手までで投了。

2勝3敗となり、編入試験に合格することはできませんでした。

西山女流三冠は大阪 大阪狭山市出身で2010年に「奨励会」に入り、三段まで昇段しましたがプロとなる四段には昇段できず、4年前に退会して女流棋士に転向しました。

これまで獲得した女流タイトルは通算18期で、トップ女流棋士のひとりです。

西山女流三冠が編入試験に合格すれば1924年に日本将棋連盟の前身となる組織が発足して以来、女性初のプロ棋士誕生でしたが、今回の試験でのプロ入りはなりませんでした。

西山女流三冠 “まずは試験官に感謝”
敗れた西山朋佳女流三冠は対局を終えた直後のインタビューで「いろいろ思いはありますが、まずは難しい立場の中、5人の試験官の方々がそれぞれの考えで向き合ってくださったことにすごく感謝しています」と述べました。

そして、「想像以上にいつもどおりだったというか、棋士の中でもたくさん指している方が相手というところもあってあまり緊張せずに挑めていたのかなと思います。どうしても苦しく感じるような変化も多いと思っていたところで、序盤は粘るような展開になりました。終盤に『歩』を打った辺りは何かあるかもしれないと思っていましたが、ちょっと足りないのかなと思いながら指していました」と振り返りました。

その上で、今後再び「編入試験」の受験資格を得た場合、再挑戦するかどうかについては「きょうまできょうのことだけを考えてきたので、今後のことについては家に帰っていったん整理してから考えたいと思っています」と答えました。

一方、勝利した柵木幹太四段は、「序盤は先手番だったので持久戦という感じで、そこから中盤、最初の方はリードを広げたかなという感触はあったのですが、そこからちょっとよくないところが出て終盤は負けていてもおかしくない局面もあり、最後までよく分かりませんでした。こちらの形勢がよくても追い込まれていく終盤の感覚は昔の対局から感じていたので、きょうも逆転負けしそうだなと思ったところもあり、とても力は感じました」と話していました。

初代女流名人 “西山さんらしく伸び伸びと歩んで”
22日の編入試験の結果を受けて将棋連盟が設立した「女流棋士」制度で誕生した初の女流棋士6人のうちの1人で、初代の女流名人、女流王将を獲得している蛸島彰子女流六段がコメントを発表し「西山朋佳さん、棋士編入試験お疲れさまでした。厳しいスケジュールの中、体力的にも本当に大変だったことでしょう。挑戦の勇気を、心からたたえたいと思います。西山さんの力強く踏み込みのよい将棋は、観ていて気持ちがスカッとします。今回の結果で、西山さんの将棋の魅力は何も変わりません。これからも、西山さんらしく伸び伸びと、目指す道を歩んでいってください」と敗れた西山女流三冠をねぎらいました。

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