対中「力の空白」防ぐ 豪、原潜配備で重荷

東京, 3月15日, /AJMEDIA/

【シドニー時事】米英とオーストラリアの安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の下、豪州への原子力潜水艦の駐留・配備を段階的に進めることが14日(米時間13日)、決まった。中国が台湾の武力統一も辞さない姿勢を示す中、米英豪はインド太平洋地域に「力の空白」を生じさせないことに腐心。豪州は海軍力を強化できる半面、有事の米国支援で積極的役割が求められるとみられ、重荷を背負うことになる。
豪州が現在運用している通常型潜水艦は、2030年代半ばに退役する。これに先立ち今年から米英原潜の寄港を増やし、27年にも巡回駐留を開始。30年代前半の豪軍による原潜取得につなげる計画だ。
 急速に軍拡を進める中国は、既に12隻の原潜を保有。習近平政権が28年までの3期目のうちに台湾統一へ動く可能性もあるとみて、米英豪は切れ目のない形で抑止力強化を急ぐ。バイデン米大統領は「最速のスケジュールだ」と強調した。
 通常型潜水艦に比べ、原潜は速度や航続距離に優れ、巡航ミサイル「トマホーク」など攻撃力の高い兵器の搭載も可能。アルバニージー豪首相は「地域の安全保障を推進していくことを決意している」と語った。
 だが、仮に米中が衝突する事態となれば、豪州は米国の戦略に組み込まれ、行動を共にするよう求められると予想される。オーストラリア国立大のビアンカ・バジアリーニ講師は「今回のAUKUS合意で、同盟は新たな段階へ進んだ。豪州の米国依存は強まるだろう」と指摘。その上で「抑止力強化とエスカレーションは線引きが難しい」と軍拡競争激化への懸念も示す。
 豪政府は、中国による豪産品輸入制限の解除を求め、経済分野での関係改善を目指している。しかし、中国はAUKUS合意に反発。豪州に都合の良い形で話が進む保証はなく、貿易相手の多角化など難しい対応を迫られることになりそうだ。

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