対ロ非難、即時撤退要求 日ウクライナ首脳声明―エネルギー支援に600億円

東京, 3月23日, /AJMEDIA/

【ワルシャワ時事】岸田文雄首相は21日午後(日本時間同日深夜~22日未明)、ウクライナの首都キーウ(キエフ)でゼレンスキー大統領と会談し、共同声明を発表した。ロシアの軍事侵攻を厳しく非難し、即時全面撤退を要求。首相はエネルギー分野の無償支援などとして4億7000万ドル(約600億円)を追加供与する方針を伝えた。
首相のウクライナ訪問は昨年2月の侵攻開始後初めて。会談は大統領府で夕食会を含めて約2時間40分行われ、共同記者会見にも臨んだ。
 両首脳は声明で、ロシアの動きを「違法、不当でいわれのない侵略」だと非難。南部のザポロジエ原発を含むウクライナ全土からの「即時かつ無条件の撤退」を要求し、対ロ制裁の強化が不可欠だとの認識で一致した。両国の「揺るぎない連帯」も確認した。
 また、中国の軍事的威圧を念頭に欧州とインド太平洋の安全保障は不可分だと指摘。「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」の維持へ連携を確認した。ロシアによる核兵器使用の威嚇を批判し、戦争犯罪の追及で足並みをそろえることを申し合わせた。
 両国関係を「特別なグローバルパートナーシップ」に格上げすることも盛り込んだ。
 日本政府によると、首相は会談で、殺傷能力のない装備品支援として3000万ドル(約40億円)の新規拠出も行うと説明。「ウクライナ国民の勇気と忍耐に敬意を表する」と強調した。大統領はウクライナ入りした首相を「国際秩序の守護者だ」と評価し、日本の支援に謝意を示した。
 首相は5月に地元広島で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)に大統領を招待し、オンライン参加が決まった。首相は「G7の団結を維持する決意を示したい」と伝えた。
 ◇ポーランドをODA対象に
 会談後、首相は列車でポーランドへ移動。ワルシャワで22日午前(日本時間同日午後)、モラウィエツキ首相と協議した。ウクライナ支援拠点として負担が増したポーランドを政府開発援助(ODA)の対象国にするとし、「同志国が結束して支援を継続することが重要だ」と訴えた。
 この後、ドゥダ大統領とも意見交換。チャーター機で帰国の途に就いた。23日朝に羽田空港に到着する。
 首相は1月のゼレンスキー氏との電話会談で訪問を要請された。ロシア侵攻後、G7で首脳がウクライナを訪れていないのは日本だけだったが、広島サミットまで2カ月を切ったタイミングで実現させた。滞在先のインド・ニューデリーからポーランドを経由して電撃的にキーウに入った。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts