東京, 1月17日, /AJMEDIA/
大阪市北区の雑居ビルで25人が犠牲となった放火殺人事件は、17日で発生から1カ月となる。容疑者は死亡したが、大阪府警天満署捜査本部は被害者や遺族の心情に配慮し、真相究明に向けた捜査を続けている。年度内にも、容疑者死亡のまま殺人などの疑いで書類送検する方針。
谷本盛雄容疑者(61)は現場のクリニックから心肺停止状態で搬送され、蘇生したものの一度も意識を取り戻すことなく、事件から約2週間後の昨年12月30日に死亡。直接動機を聞き出すことはできなくなった。
府警によると、谷本容疑者は長男に対する殺人未遂事件で服役後、更生保護施設などを経て2017年2月、父親から相続した大阪市此花区の住宅に転居。翌月に「夜眠れない」などとクリニックを初めて訪れ、受診回数は112回に上った。
所持品のスマートフォンには、事件当日と同じ金曜日に下見したとみられる「診療内科 9時58分までに合計22人一気に入ってきた」との記録のほか、「日本史上最悪な凶悪事件」を検索した形跡もあった。動機につながるような記載は見つかっていない。アドレス帳に知人の連絡先は皆無で、架電先は電気やガスの業者だけ。交友関係をたどる捜査も難航している。
昨年1月には銀行口座の残高がゼロに。同年5月に2回目の生活保護を申請したが、受給には至らなかった。府警は、谷本容疑者が孤立を深め経済的にも困窮し、多くの患者らを大量殺人に巻き込もうとしたとみて調べている。