東京, 6月29日, /AJMEDIA/
自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)で、故安倍晋三元首相の後を継ぐ新会長選出に向けた動きが活発化してきた。会長不在がさらに続けば、党内で存在感が低下しかねないとの危機感からだ。7月8日の安倍氏一周忌に合わせて新体制を発足させるべきだとの声が相次ぐが、有力者の思惑が入り乱れ、先行きは不透明だ。
安倍派会長「結論出したい」 自民・世耕参院幹事長
「安倍氏が亡くなって1年になる。決断しなければいけない時が来ている」。安倍派の前事務総長の西村康稔経済産業相は28日のラジオ日本の番組で、会長人事についてこう語った。
参院安倍派を束ねる世耕弘成参院幹事長も27日の記者会見で、内閣改造・党役員人事が今夏に予想されるとした上で「(岸田文雄首相との)交渉の窓口は決まっていた方がいい。そう遠くなく何らかの結論は導き出したい」と語った。
安倍派は昨年7月の安倍氏死去後も会長を空席としたまま「安倍派」を名乗り、塩谷立、下村博文両会長代理が形式的に率いる暫定体制を続けている。集団指導体制とする案や「塩谷派」に衣替えする案が浮かんだが、いずれも派内の反対論で立ち消えになった。
衆院小選挙区「10増10減」に伴う調整では、安倍氏の地盤を継いで初当選した衆院議員が岸田派の林芳正外相との公認争いに敗れた。安倍派内では会長不在による発言力低下が影響したとの不満がくすぶる。
会長選びを主導するのは、西村、世耕両氏に萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長、松野博一官房長官を加えた「5人衆」。折に触れて後継体制を協議しており、26日夜も意見を交わした。世耕氏は会見で「5人でしっかり話し合いを進める」と語った。
派内には衆院議員の萩生田、西村、高木、松野各氏のいずれかを会長に推す声がある。これに加えて世耕氏を「共同会長」に据える案もある。萩生田氏を会長、西村氏を党総裁(首相)候補とする分離論も取り沙汰される。
西村氏は28日の講演で、総裁選への出馬について「(派から)理解を得られればぜひ挑戦したい」と意欲を表明。分離論について「いろいろあり得る」と否定しなかった。
ただ、5人衆は派の正式な機関ではなく、外されたベテランらは批判的。同派関係者の一人は「5人衆に決める資格はない」と反発した。塩谷氏は28日夜、同派の若手議員と東京都内で会食し、5人衆とは別に意見聴取を始めた。
安倍派は7月6日に総会を開き、新体制について協議する見通し。所属議員は派閥分裂の分水嶺(れい)とされる100人に達しており、元会長で今も同派に影響力を持つ森喜朗元首相は26日発売の月刊誌で「それぞれが陣営をつくると、亀裂が生じる。派が空中分解すれば、安倍氏の遺志に反する」と懸念を示した。