東京, 2月23日, /AJMEDIA/
ロシアのウクライナ侵攻から24日で1年となる。東京・銀座のロシア食品専門店「赤の広場」では昨年の侵攻直後、看板を壊されるなどの嫌がらせに遭ったが、経営者はウクライナ出身だ。温かい励ましの言葉もたくさんもらったといい、「本当に感謝している」と振り返る。
経営者のミヤベ・ビクトリアさん(48)は約20年前に日本人男性と結婚して来日し、旧ソ連圏から食品を輸入販売する会社を設立した。現在のスタッフの出身地はウクライナやウズベキスタン、ニュージーランドなどさまざまだ。
侵攻直後の昨年2月28日、店の立て看板が何者かに破壊された。ツイッターで被害について投稿すると瞬く間に拡散され、励ましの言葉が相次いだ。店で直接「頑張って」「応援します」などと声を掛けられることも増えたという。同5月には器物損壊容疑で米国籍の男が警視庁に逮捕された。
それでも「店をやめろ」「なぜウクライナ人がロシアの店で働いているのか」などの電話やメールは絶えず、「こちらの立場を考えず簡単に言われることがつらかった」と苦しい胸中を明かす。
経営面でも苦境が続いた。関税の引き上げに円安も重なって商品の値段が高騰し、スタッフを減らさざるを得ない状況に追い込まれた。自身も手術を経験するなど、「この1年間、苦しいことが多すぎた」とミヤベさんは声を詰まらせる。
ウクライナのマリウポリにいた姉は昨年夏に一家で来日したが、もう1人の姉はロシアのシベリアで暮らしているという。「私たちはすごく難しい立場にいる。(ウクライナとロシアの)どちらかを選べない。私は両方の国が大好きで、非常に難しい」と複雑な心境を打ち明ける。
侵攻から1年を前に、「半年で終わるかもと考えたこともあったが、いつ終わるか想像がつかない」とため息をつく。今はただ、戦争が早く終結することを祈っている。