天海祐希「夫や子どものいない私が、コロナ禍で改めて気づいた家族の大切さ。毎日のように母に電話しています」

東京, 10月15日, /AJMEDIA/

10月30日公開『老後の資金がありません!』で主人公の主婦・篤子を熱演している天海祐希さんは、現在発売中の『婦人公論』10月26日号の表紙を飾っています。コロナで、家族の大事さに改めて気がついたという天海さん。毎日のように続いた母との電話で、家族だからこそ、ちゃんと言葉で伝えることが大事だと実感したと言います――。発売中の『婦人公論』から記事を掲載します。(撮影=鍋島徳恭 構成=篠藤ゆり)

◆2年前の撮影時には想像もつかない現実が

映画『老後の資金がありません!』で、主人公の主婦・篤子を演じています。主婦は、子どもや夫のこと、家のことを優先して、自分は後回しにしがちですよね。家庭の状況次第では、ちょっと気分転換したいと思っても、なかなか時間がつくれない時期もありますし。

篤子もまさにそう。舅の死後に引き取った姑は浪費癖があり、夫はリストラに。娘の結婚費用もばかにならず、老後資金が消えていく。次々と押し寄せる難題に、時に怒りながらも一所懸命立ち向かっていく姿が健気で、演じながらすごく応援したくなりました。

撮影したのは2年前。「老後資金として2000万円なければ大変かもしれない」という現実をつきつけられ、多くの人が老後に不安を持っていた時期でした。ところがいざ公開という段になり、コロナという思いもよらない現実が押し寄せてきたわけです。

この2年弱の間、今まで普通に会えていた人と会えなくなり、出かけたいところに出かけられなくなり――それまで当たり前だと思っていたことは、決して当たり前ではなかった。すごく恵まれていたんだと感じました。

私には夫や子どもはいませんが、家族の大事さにも改めて気がついた。とくに昨年は、毎日のように母に電話をかけていました。

◆家族だからこそ、ちゃんと言葉で伝えることが大事

「元気にしてる?」「今日は何をしていたの?」とか、どうってことない会話なんですよ。とはいえ、生身の声でのコミュニケーションはメールとは違い、体温が感じられます。お互い「元気でいてくれれば、それだけでいいわ」なんて言い合って、じ~んとしたり。

それまで心では思っていても、家族なんだからわかっているはずと思い、あえて言葉にはしてこなかった。でも、家族だからこそ、ちゃんと言葉で伝えることが大事なんだと実感しました。

コロナを経験したことで、改めて家族で向き合うことの大切さを感じた方も多いのではないでしょうか。『老後の資金がありません!』は、バラバラになりかけていた家族がどうやって困難や行き違いを乗り越えていくかという映画です。そういう意味で、図らずも撮影時よりさらに多くの方の心に届く作品に育った気がします。

まだまだ大変な状況は続くかもしれませんが、たまには日常から離れ、感染対策を十分にしたうえで映画館に足を運んでいただけたらすごく嬉しいです。思い切り笑って、ちょっぴりうるっとして、時には主人公と一緒に怒り――暗い劇場から出て、明るい陽射しを浴びた時、「あぁ、明日もがんばろう」と思ってもらえたら、こんなに幸せなことはないですね。

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